2.7.4 幾何分布 〜統計検定2級対応・統計学入門まとめ〜

当まとめでは統計検定$2$級の公式テキストの副教材に用いることができるように、統計学入門に関して取り扱います。当記事では「統計検定$2$級対応 統計学基礎」の$2.7.4$節「幾何分布」の内容を元に幾何分布の確率関数や期待値・分散の計算に関して取りまとめました。
統計検定$2$級のテキストとの対応がわかりやすいように、目次を「統計検定$2$級対応 統計学基礎」と対応させました。学びやすさの観点からあえて目次を対応させましたが、当まとめは「統計の森」オリジナルのコンテンツであり、統計検定の公式とは一切関係ないことにご注意ください。

・統計検定$2$級対応・統計学入門まとめ
https://www.hello-statisticians.com/stat_basic

幾何分布の概要

概要

確率$p$の事象が$x$回目に初めて観測される確率を取り扱う場合、幾何分布を用います。下記は準$1$級で出題された問題の解答ですが、$4$種類あるカードを全て入手する際に必要な試行の期待値について取り扱われており、幾何分布の応用例と見ることができます。

発展事項

幾何分布では確率$p$の事象が$1$回目観測される時点に関して取り扱いますが、$r$回目の観測の時点を取り扱う場合は「負の二項分布」を用います。負の二項分布に関しては下記で詳しく取り扱いましたので、確認の際は下記をご参照ください。

必要な数学

幾何分布の確率関数には指数関数が用いられます。よって、指数関数の理解は必須になります。

幾何分布の確率関数・期待値・分散

幾何分布の確率関数

$x$回目で$1$度目に確率$p$の事象が観測されたと考えるとき、確率変数$X$は幾何分布$\mathrm{Geo}(p)$に従うと考えられます。幾何分布の確率関数を$p(x)$とおくと、$p(x)$は下記のように表すことができます。
$$
\large
\begin{align}
p(x) = p(1-p)^{x-1}, \quad x=1,2,3,\cdots
\end{align}
$$

注意事項

幾何分布を考えるにあたっては「$x$回目に確率$p$の事象が観測される」のように定義する場合と、「$x$回の失敗ののちに成功する」のように定義する場合の$2$通りあります。ここでは前者を用いましたが、後者が用いられる場合もあるので、確率関数に着目する必要があります。

$(1-p)^{x-1}$が用いられる場合は「$x$回目に確率$p$の事象が観測される」と考える、$(1-p)^{x}$が用いられた場合は「$x$回の失敗ののちに成功する」と考えることは抑えておくと良いと思います。

幾何分布の期待値・分散

幾何分布の期待値$E[X]$と分散$V[X]$は下記に基づいて計算することができます。
$$
\large
\begin{align}
E[X] &= \frac{1}{p} \\
V[X] &= \frac{1-p}{p^2}
\end{align}
$$

導出はやや複雑なので当項では省略します。詳しくは下記などで取り扱いました。