統計検定準1級問題解説 ~2019年6月実施 問2 幾何分布~

過去問題

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解答

[1] 解答

$\boxed{ \ \mathsf{記述5}\ }$ : $5.5$

$3$種類のカードのうち、$k (k=0,1,2)$種類揃っている状態で $k+1$種類目のカードが出る確率 $p_k$ は、$p_k=(3-k)/3$ である。
$k$種類のカードが揃った後、$k+1$種類目のカードが出るまでに必要な購入回数は、成功確率 $p_k$ の幾何分布に従うので、その期待値は $1/p_k$である。このことから、すべてのカードを揃えるまでに必要な購入回数の期待値は、
$$
\sum_{k=0}^2\frac{1}{p_k}=\sum_{k=0}^2\frac{3}{3-k}=\frac{3}{3}+\frac{3}{2}+\frac{3}{1}=1+1.5+3=5.5
$$

[2] 解答

$\boxed{ \ \mathsf{記述6}\ }$ : $\displaystyle \frac{7}{6}$

$x$ は[1]で求めた期待値 $5.5$ に、残り1枚のカードが出るまでの購入回数の期待値 $4/(4-3)=4$ を足した $9.5$ となる。
一方、$y$ は[1]と同様に考えて、
$$
y=\sum_{k=0}^3\frac{4}{4-k}=\frac{4}{4}+\frac{4}{3}+\frac{4}{2}+\frac{4}{1}=1+\frac{4}{3}+2+4=\frac{25}{3}
$$
よって、
$$
x-y=9.5-\frac{25}{3}=\frac{7}{6}
$$


解説

幾何分布

成功確率 $p$ の独立なベルヌーイ試行を繰り返したとき、はじめて成功するまでの試行回数 $X$ の分布を幾何分布 $Ge(p)$ という。(初めて成功するまでの失敗の回数の分布とする定義もあるので注意)
初めて成功するのが $x$ 回目とすると、$x-1$回失敗している(成功していない)ので、その確率は、$P(X=x)=p(1-p)^{x-1}$ となる。この分布の期待値は、
$$
E[X]=\sum_{k=0}^\infty kP(X=k)=\sum_{k=0}^\infty kp(1-p)^{k-1}
$$
ここで、
$$
\sum_{k=0}^\infty x^k=\frac{1}{1-x} \quad (|x| \lt 1)
$$
の両辺を $x$ で微分して得られる
$$
\sum_{k=0}^\infty kx^{k-1}=\frac{1}{(1-x)^2} \quad (|x| \lt 1)
$$
を用いて
$$
E[X]=p\sum_{k=0}^\infty k(1-p)^{k-1}=\frac{p}{(1-(1-p))^2}=\frac{1}{p}
$$
となる。また分散は、
$$
V[X]=E[X(X-1)]+E[X]-(E[X])^2=\sum_{k=0}^\infty k(k-1)p(1-p)^{k-1}+\frac{1}{p}-\frac{1}{p^2}
$$
ここで、先の微分式をさらに $x$ で微分して得られる
$$
\sum_{k=0}^\infty k(k-1)x^{k-2}=\frac{2}{(1-x)^3} \quad (|x| \lt 1)
$$
を用いて
$$
\begin{align*}
V[X]&=p(1-p)\sum_{k=0}^\infty k(k-1)(1-p)^{k-2}+\frac{1}{p}-\frac{1}{p^2}\\
&=\frac{2p(1-p)}{(1-(1-p))^3}+\frac{1}{p}-\frac{1}{p^2}\\
&=\frac{2(1-p)}{p^2}+\frac{p}{p^2}-\frac{1}{p^2}=\frac{1-p}{p^2}\\
\end{align*}
$$

幾何分布の無記憶性

$X$ が幾何分布に従う($X\sim Ge(p)$)とき、
$$
P(X \geqq t_1+t_2|X \geqq t_1)=P(X \geqq t_2)
$$
が成り立つ。これを無記憶性という。
「$t_1$ 回失敗したうえでさらに $t_2$ 回失敗する確率が、最初から$t_2$ 回失敗する確率に等しい」