統計学の習得にあたってのロードマップ 〜必要な数学の理解、学習の進め方 etc〜

統計学の習得にあたっては、比較的理解しやすいトピックから、なかなかイメージの掴めないトピックまで、様々なトピックがあると思います。当稿ではそれぞれ大まかな目的別に前提となる数学力や用いると良い書籍、学習の進め方について取りまとめを行いました。

到達目標の整理

下記を参考にすると良いと思います。
https://www.hello-statisticians.com/explain-terms-cat/math_stat1.html#i
「統計学を大まかに把握する」、「統計学を使って専門的に考察する」、「統計学のプロフェッショナルになる」の$3$つに大きく分けることができると思います。

よくあるQ&A

・学生/社会人ですがどのくらいできれば良いでしょうか
基本的には目標次第だとは思いますが、学生の場合はなるべく基本的な理論から抑えるようにすると良いです。アカデミックなキャリアを目指すにあたっては理論の理解がある方が望ましいのと、それ以外のキャリアを目指すにあたって実用的な知識が必要という話になっても理論を理解していることで実用的な知識のキャッチアップのスピードが上がるためです。「統計学を使って専門的に考察できるレベル」を一旦目指し、進捗に応じて目標を調整すると良いと思います。
一方で社会人の場合はどうしてもすぐに効果のある話が必要がある場合があるので、ある程度実用的な知識を優先しても良いと思います。「統計学を大まかに把握する」だけであれば高校レベルの数学は「できれば望ましい」程度であるので、到達目標を明確にするところから入ると良いと思います。

・統計学を身につけると具体的にどのように役に立つのでしょうか
我々が普段何気なく用いている平均の計算やパターンの考察などは統計学の理解に基づくことが多いです。そのため、基本的な統計学を身につけることで多くの実用的な考察ができるようになります。

到達目標別の必要な事前知識

数学の知識

下記を参考にすると良いと思います。
https://www.hello-statisticians.com/explain-terms-cat/math_stat1.html#i-5

学習の進め方

大まかな流れ

統計検定$2$級レベルまで

統計検定の$2$級レベルまでについては下記が主なトピックとなります。

・記述統計
・確率、確率変数、確率分布
・推測統計

記述統計は直感的に取り扱われるため比較的理解しやすいですが、確率分布〜推測統計に関してはなかなか難しいかもしれません。これらの習得にあたっては「基礎統計学Ⅰ 統計学入門(東京大学出版会)」の記載が秀逸な印象を受けますが、高校レベルの数学については理解している理系の大学$1$〜$2$年をメインターゲットにしていると思われるため、$1$冊目に読むのは難しいかもしれません。よって、高校レベルの数学はそれほど問題がない方を除き、別の入門書で学習したのちに「基礎統計学Ⅰ 統計学入門(東京大学出版会)」を確認するのが良いと思います。

統計検定$1$級・準$1$級レベルまで

準$1$級レベルは下記のワークブックを参考に学習を進めると良いと思います。

範囲が多岐に渡るので、分かるところから進めていくで十分だと思います。古典的な統計学に加えて機械学習の話題も多いので、$1$つ$1$つの理解を厳密に行おうとし過ぎない方が良いかもしれません。過去問やワークブックの解答は下記で取りまとめを行いました。
https://www.hello-statisticians.com/toukeikentei-semi1

$1$級レベルは「統計数理」は「現代数理統計学」などを参考にしながら、実際に出題された問題を解いてみると良いと思います。「統計応用」は「統計数理」を抑えた上で問題を解きつつ、知らないことは調べるで十分だと思います。記述式の良問が多いので演習に用いやすいですが、所々不備はあるような印象です。
https://www.hello-statisticians.com/stat_certifi_1_math
https://www.hello-statisticians.com/stat_certifi_1_app

また、「現代数理統計学」の章末問題の解答に関しては下記で取りまとめを行いました。
https://www.hello-statisticians.com/answer_textbook

$+ \alpha$の学習

「現代数理統計学」、「パターン認識と機械学習」を参照しながら論文などを読むと良いと思います。

推奨書籍

下記に「統計検定準1級攻略のためのお勧めテキスト」についてまとめましたが、こちらを主に参考にすると良いと思います。
https://www.hello-statisticians.com/explain-books-cat/recomend-books-for-semi1.html

演習

「基礎統計学Ⅰ 統計学入門(東京大学出版会)」の章末の演習問題のクオリティが高いので、演習に用いると良いと思います。巻末に略解が記載されていますが、より詳細な解答や解説がある方が望ましいと思われたため、下記に解答を作成しました。
https://www.hello-statisticians.com/category/explain-books-cat/toukeigakunyuumon-akahon

統計検定の解答も作成していますので、下記も試してみてください。
https://www.hello-statisticians.com/toukeikentei-semi1-kakomon

また、下記で「あつまれ統計の森」オリジナルの演習問題をまとめましたので、こちらも参照ください。
https://www.hello-statisticians.com/practice_100

演習を行う際に気をつけると良いのが、難しい問題については考え過ぎずに、ある程度解答を読んで理解するでも十分だと考えることです。演習問題を解くことで基本的な事項についての復習ができれば十分なため、解けるかどうかよりも解答を読んで理解できるかの方が重要です。

また、答案の書き方のコツについても下記にまとめました。
https://www.hello-statisticians.com/uncategorized/math_stat2.html#i-5

応用

まとめ