「基礎統計学Ⅰ 統計学入門(東京大学出版会)」の章立て&読み方について

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上記の記事でも取り扱った統計学の基礎を学ぶ上でのバイブルとされる「基礎統計学Ⅰ 統計学入門(東京大学出版会)」ですが、独学で取り組むにあたっては目安がなくて大変かもしれません。ということで当記事では独学前提の方向けにこの本の読み方について簡単に取り扱います。

レベル感に関して

まずはこの本のレベル感について確認します。こちらは主に大学1〜2年向けに基本的な統計学をまとめた書籍で、主に統計検定2級相当と考えておくと良いと思います。とはいえ、モーメント母関数や中心極限定理の導出など、トピックによっては1級に出るような内容の導入なども取り扱われています。
なので単に統計検定2級に対応すると考えるより、2級の学習と並行でより詳しく把握したいトピックの確認を目的として確認するのが良いかと思います。もしくは2級は取得できたが、なんとなく抑えていた内容について改めて理解したいという方にも向いていると思います。

統計Webなど統計検定2級レベルの解説サイトは多いですが、統計Webよりは少々記載が難しい一方でより本質的な理解が可能な書籍です。そのため、2級合格を目的にするには少し難しい書籍ですが、2級の合格からさらに理解を進めたい方に適した教材であると言えるのかもしれません。

2級相当はなんとなくわかった一方で、準1級・1級の合格にあたってこれまで流してきた内容をさらに理解したいという方が最初に選ぶと良い書籍というのが当サイトの見解です。もちろんこの書籍だけで準1級・1級に十分な訳ではありませんが、大枠の構成を把握しているかどうかで全体の見通しが変わるのでそういう意味で非常に役に立つのではないかと思います。

章立て、構成に関して

この書籍の構成は主に全体で3つと考えると良いと思います。

1〜3章  記述統計に関して
4〜8章  推測統計の準備(統計における確率の取り扱い)
9〜12章  推測統計に関して

統計検定2級相当のトピックでは記述統計と推測統計が中心になりますが、1〜3章が記述統計、9〜12章が推測統計の話題です。また、13章の回帰分析については、学習が進むにつれて最尤法やベイズなど確率分布などを考慮した取り扱いになるのですが、この書籍を読み進める段階では一旦他と独立したトピックとみなして取り組む方が難しくなり過ぎないので良いと思います。

読み進め方に関して

書籍の読み進め方については章立てと対比で考えると良いと思います。以下、簡単に利用目的毎の読み進め方についてまとめます。

・2級の学習と並行で読み進める場合
-> 統計Webなどの簡易的に書かれた記載で全体像を掴みつつ、詳しく知りたい箇所を随時参照するのが良いと思います。

・2級は合格したけれど推測統計のイメージがまだ掴みきれない
-> 9〜12章を読み進めつつ、必要に応じて4〜8章の内容を確認すると良いと思います。4〜8章は全て理解しようとして進めるとなかなか大変なので、辞書的に都度確認が良いと思います。

・推測統計の大枠は把握できたが、準1級〜1級に取り組むにあたってもう少し高度なトピックを把握したい
-> 9〜12章を流しながら4〜8章を確認すると良いと思います。モーメント母関数などの確率分布の話題や中心極限定理の導出などは1級の統計数理などでも出てくるのですが、大枠の理解についてはこの書籍で掴めると思います。(「基礎統計学Ⅲ 自然科学の統計学(東京大学出版会)」や「現代数理統計学の基礎(共立出版)」に取り組む前の基礎固めにも使えると思います。)

難しいと感じた際に行うと良いこと

独学で学習を進めるにあたって難しいと感じる場合は多いと思います。

・書籍の解説が難しい
-> 部分的なトピックの記載については解説サイトの方がわかりやすいこともあるので、いくつか調べて見ると良いかと思います。また、導出過程だけを追っているとイメージがつかない時もあるので、具体的な問題も解きつつ取り組むと良いと思います。統計検定2級の問題を解いたり、章末問題を解いたりしながら進めると良いと思います。

・演習をしているがなかなか問題が解けない
-> 基本的には解答の記載を覚えて何度か繰り返すのが良いと思います。自力で解法を導出しようとするとなかなか大変だったりするので、最初は解答を見て覚えるで良いと思います。また、解答についてはなるべく解説が詳しいものが望ましいです。一方で、統計検定の問題や書籍では解答が略記されていることが多いので、当サイトでは統計検定や有名な書籍については解説付きの解答をカバーしていく予定です。リクエストについては随時受け付けますので、「この問題の解説が欲しい」などありましたら気軽にお問い合わせいただけたらと思います。

・そもそも数学が難しいので学習が進まない
-> 「数学がどのくらい必要か」の議論がよく行われますが、数学検定2級レベル(高校2年生レベル)の数学に自信がなければ先に抑えておく方が良いと思います。本来的には数Ⅲ〜大学教養レベルの数学も抑えておくと望ましいですが、なかなか分量も多いので数Ⅱまでを先に抑えた上で数Ⅲ以降は都度学習するで十分だと思います。

・なかなか効率よく学習が進まない
-> 覚えるだけでなく理解が必要なトピックに取り組む際は、まとめて3〜5時間学習するよりも毎日15分〜1時間学習する方が学習効率が高いです。そのため、なるべく毎日(毎日でなくとも週4〜5でも良い)少しずつ取り組むようにすると良いと思います。また、1日毎の目標の設定はあまり高く設定し過ぎずに、15分程度で達成できる事項ができればOKとしておく方が学習を続けやすくて良いと思います。

・数学がどうしても苦手なのでメンタリングを希望したい
-> 当サイト運営の関係者で簡単なメンタリングの対応が可能です。オンライン対応が中心であれば大体1時間あたり3,000円〜5,000円での対応が可能です。基本的には中学数学〜数Ⅱと、数Ⅲ〜大学教養数学の2つを用意する形で、数Ⅲ以降は1,000円ほど高めの設定となります。

まとめ

当記事では「基礎統計学Ⅰ 統計学入門(東京大学出版会)」の読み方についてまとめました。
読み進めていて難しい箇所などありましたら関連の解説記事を作成することを検討したいので、気軽にお問い合わせいただけたらと思います。