2.7.3 ポアソン分布 〜統計検定2級対応・統計学入門まとめ〜

当まとめでは統計検定$2$級の公式テキストの副教材に用いることができるように、統計学入門に関して取り扱います。当記事では「統計検定$2$級対応 統計学基礎」の$2.7.3$節「ポアソン分布」の内容を元にポアソン分布の確率関数や期待値・分散の計算に関して取りまとめました。
統計検定$2$級のテキストとの対応がわかりやすいように、目次を「統計検定$2$級対応 統計学基礎」と対応させました。学びやすさの観点からあえて目次を対応させましたが、当まとめは「統計の森」オリジナルのコンテンツであり、統計検定の公式とは一切関係ないことにご注意ください。

・統計検定$2$級対応・統計学入門まとめ
https://www.hello-statisticians.com/stat_basic

ポアソン分布の概要

概要

ポアソン分布は二項分布$\mathrm{Bin}(n,p)$の$np = \lambda$を固定し、$n \to \infty, p \to 0$の極限を考えた際の確率分布です。

よってポアソン分布は「稀に起きる現象」の近似の際によく用いられます。具体的には「交通事故の件数」や「工場で発生する不良品の件数」などが例に挙げられます。確率関数や確率関数に基づく考察に関しては次節で詳しく取り扱います。

必要な数学

ポアソン分布の確率関数には指数関数やネイピア数$e$が用いられます。よって、指数関数の理解は必須になります。

また、二項分布からポアソン分布の確率関数の導出を行うにあたっては極限の考え方を用います。極限の考え方は統計検定$2$級では出題されないと思われますが、重要事項なので余裕があれば確認しておくと良いと思います。

ポアソン分布の確率関数・期待値・分散

ポアソン分布の確率関数

ポアソン分布の確率関数を$p(x)$とおくと、$p(x)$は下記のように表せる。
$$
\large
\begin{align}
p(x) = \frac{\lambda^{x} e^{-x}}{x!}
\end{align}
$$

たとえば$\lambda=2$のときは$x=0$〜$5$に対応する確率関数$p(x)$が下記のように得られます。
$$
\large
\begin{align}
p(0) &= \frac{e^{-2} \cdot 2^0}{0!} \\
&= e^{-2} \\
&= 0.1353095 \\
p(1) &= \frac{e^{-2} \cdot 2^1}{1!} \\
&= 2 \cdot e^{-2} \\
&= 0.2706709 \\
p(2) &= \frac{e^{-2} \cdot 2^2}{2!} \\
&= 2 \cdot e^{-2} \\
&= 0.2706709 \\
p(3) &= \frac{e^{-2} \cdot 2^3}{3!} \\
&= \frac{4 \cdot e^{-2}}{3} \\
&= 0.180447 \\
p(4) &= \frac{e^{-2} \cdot 2^4}{4!} \\
&= \frac{2 \cdot e^{-2}}{3} \\
&= 0.0902235 \\
p(5) &= \frac{e^{-2} \cdot 2^5}{5!} \\
&= \frac{4 \cdot e^{-2}}{15} \\
&= 0.0360894
\end{align}
$$

上記では$x=0,1,2$の確率の和が$0.6$ほどあるので、$\lambda=2$に近い値が観測されやすいことが確認できます。

発展事項

ポアソン分布の確率関数を表した$(1)$式は二項分布の確率関数より導出を行うことができます。詳しい導出の流れは下記で取り扱いましたのでここでは省略します。

ポアソン分布の期待値・分散

ポアソン分布の期待値$E[X]$や分散$V[X]$は二項分布の値に対して$\lambda = np$とした上で、$n \to \infty$、$p \to 0$の極限を考えることで導出することができます。
・期待値
$$
\large
\begin{align}
E[X] &= np \\
&= \lambda
\end{align}
$$

・分散
$$
\large
\begin{align}
V[X] &= np(1-p) \\
&= \lambda(1-p) \\
& \to \lambda \quad (1-p \to 1)
\end{align}
$$