必ず抑えておくべき展開・因数分解(factorization)の基本公式

数式変形にあたって、統計学に限らずあらゆる分野で出てくるのが展開と因数分解(factorization)です。当記事では、因数分解の必ず抑えておくべき基本公式と抑えておくと良いその他の公式に関して、それぞれの導出なども合わせて取りまとめを行いました。

・基礎数学まとめ
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必ず抑えておくべき基本公式

$A(B+C)=AB+BC$

展開や因数分解を考える前に抑えておくと良いのが$A(B+C)=AB+BC$の式です。この式の解釈は「$B+C$に$A$をかけた場合と$AB$と$AC$の和が一致する」です。このような計算は「旅行の予算組み時に$1$人あたりを先に計算してから人数をかける」のように、日常的にもよく用います。

$(A+B)^2=A^2+2AB+B^2$

$(A+B)^2=A^2+2AB+B^2$はよく出てくる公式です。詳しくは下記のように導出することができます。
$$
\large
\begin{align}
(A+B)^2 &= (A+B)(A+B) \\
&= A(A+B)+B(A+B) \\
&= A^2+AB+BA+B^2 \\
&= A^2+AB+AB+B^2 \\
&= A^2+2AB+B^2
\end{align}
$$

$(A-B)^2=A^2-2AB+B^2$

$(A-B)^2=A^2-2AB+B^2$も$(A+B)^2=A^2+2AB+B^2$と同様によく出てくる公式です。詳しくは下記のように導出することができます。
$$
\large
\begin{align}
(A-B)^2 &= (A-B)(A-B) \\
&= A(A-B)-B(A-B) \\
&= A^2-AB-BA+B^2 \\
&= A^2-AB-AB+B^2 \\
&= A^2-2AB+B^2
\end{align}
$$

$(A+B)^3=A^3+3A^2B+3AB^2+B^3$

$(A+B)^3=A^3+3A^2B+3AB^2+B^3$は$(A+B)^2=A^2+2AB+B^2$を元に下記のように導出することができます。
$$
\large
\begin{align}
(A+B)^3 &= (A+B)(A+B)^2 \\
&= (A+B)(A^2+2AB+B^2) \\
&= A(A^2+2AB+B^2)+B(A^2+2AB+B^2) \\
&= A^3+2A^2B+AB^2 + A^2B+2AB^2+B^3 \\
&= A^3 + (2+1)A^2B + (1+2)AB^2 + B^3 \\
&= A^3+3A^2B+3AB^2+B^3
\end{align}
$$

$(A-B)^3=A^3-3A^2B+3AB^2-B^3$

$(A+B)^3=A^3+3A^2B+3AB^2+B^3$の$B$を$-B$で置き換えることで下記のように導出を行うことができます。
$$
\large
\begin{align}
(A+(-B))^3 &= A^3+3A^2(-B)+3A(-B)^2+(-B)^3 \\
&= A^3-3A^2B+3AB^2-B^3
\end{align}
$$

抑えておくと良いその他公式

$(A+B+C)^2=A^2+B^2+C^2+2AB+2BC+2CA$

$(A+B+C)^2=A^2+B^2+C^2+2AB+2BC+2CA$は下記のように導出することができます。
$$
\large
\begin{align}
(A+B+C)^2 &= (A+B+C)(A+B+C) \\
&= A(A+B+C) + B(A+B+C) + C(A+B+C) \\
&= (A^2+AB+AC) + (BA^2+B^2+BC) + (CA+CB+C^2) \\
&= (A^2+AB+CA) + (AB+B^2+BC) + (CA+BC+C^2) \\
&= A^2 + B^2 + C^2 + (1+1)AB + (1+1)BC + (1+1)CA \\
&= A^2+B^2+C^2+2AB+2BC+2CA
\end{align}
$$

$\displaystyle (A+B)^n = \sum_{k=0}^{n} {}_{n} C_{k} A^{n-k}B^{k}$

$\displaystyle (A+B)^n = \sum_{k=0}^{n} {}_{n} C_{k} A^{n-k}B^{k}$が成立することを理解するにあたっては、$(A+B)^n$の$A^{k}B^{n-k}$の係数が${}_{n} C_{k}$で表せることを確認すると良いです。

$A^{k}B^{n-k}$は$(A+B)^n=(A+B)(A+B)(A+B) \cdots (A+B)(A+B)$から$A$の位置を$k$個選び、残りの$(A+B)$から$B$を選ぶことで計算されます。この選び方は$n$個の位置から$k$個選ぶことに対応するので$(A+B)^n$の$A^{k}B^{n-k}$の係数が${}_{n} C_{k}$のように表せます。

上記を$k=0$から$k=n$まで考え、和を取ることで$\displaystyle (A+B)^n = \sum_{k=0}^{n} {}_{n} C_{k} A^{n-k}B^{k}$が導出できます。