1.3.2 標準化得点と偏差値 〜統計検定2級対応・統計学入門まとめ〜

当まとめでは統計検定$2$級の公式テキストの副教材に用いることができるように、統計学入門に関して取り扱います。当記事では「統計検定$2$級対応 統計学基礎」の$1.3.2$節「標準化得点」の内容を元に観測値が平均を基準にどのくらいの値であるかを表す標準化得点と偏差値に関して取り扱いました。
統計検定$2$級のテキストとの対応がわかりやすいように、目次を「統計検定$2$級対応 統計学基礎」と対応させました。学びやすさの観点からあえて目次を対応させましたが、当まとめは「統計の森」オリジナルのコンテンツであり、統計検定の公式とは一切関係ないことにご注意ください。

・統計検定$2$級対応・統計学入門まとめ
https://www.hello-statisticians.com/stat_basic

標準化得点と偏差値の概要

概要

成績評価は試験の結果などによって行われることが多いですが、試験によって簡単だったり難しかったりと得点の取りやすさにはばらつきが生じます。たとえば共通テストのように科目選択式の場合など、全員が同じ科目を受けない際などは科目を横断した評価が難しいです。

このような際によく用いられるのが、「平均点を基準にどのくらいの得点であるかの指標」の「標準化得点」や「偏差値」です。一般的には「偏差値」が使われることが多いですが、統計では「標準化得点」が用いられることもあります。当記事では以下、標準化得点と偏差値に関して取り扱いました。

必要な数学

標準化得点や偏差値の計算に用いる平均や標準偏差の式の定義にあたって、和を表す記号の$\displaystyle \sum$が用いられることが多いので、抑えておく必要があります。

標準化得点・偏差値の概要

標準化得点

$n$個の観測値を$x_1, x_2, x_3 \cdots , x_{n-1}, x_{n}$のように定義します。このとき、観測値の平均$\bar{x}$と標準偏差$S$を下記のように定めます。
$$
\large
\begin{align}
\bar{x} &= \frac{1}{n} (x_1 + x_2 + \cdots + x_n) \\
S &= \sqrt{ \frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} (x_i-\bar{x})^2 }
\end{align}
$$

上記を元に$i$番目の観測値$x_i$の標準化得点$z_i$を下記のように定義します。
$$
\large
\begin{align}
z_i = \frac{x_i-\bar{x}}{S}
\end{align}
$$

上記のように定義した標準化得点を用いることで得点から平均を引き、標準偏差で割ることで複数の試験の結果を統合して成績評価を行うことが可能になります。

観測値が概ね正規分布に従うときは、$-1.96 \leq z_i \leq 1.96$に$95$%の観測値が入るので、「標準偏差$\pm 2$よりも外にある観測値は特殊な観測値であることが多い」と大まかに解釈しておくと良いです。

偏差値

偏差値は標準化得点の値の基準を$0$から$50$や$100$にずらしたものです。平均を$50$とする場合は下記のような式で表されます。
$$
\large
\begin{align}
10 z_i + 50
\end{align}
$$

偏差値$60$は標準偏差$1$つ分平均を上回る、偏差値$70$は標準偏差$2$つ分平均を上回ると大まかに理解しておくと良いと思います。

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