1.3.3 変動係数 〜統計検定2級対応・統計学入門まとめ〜

当まとめでは統計検定$2$級の公式テキストの副教材に用いることができるように、統計学入門に関して取り扱います。当記事では「統計検定$2$級対応 統計学基礎」の$1.3.3$節「変動係数」の内容を元に、平均の値を元に散らばり具合を判定する変動係数に関して取り扱いました。
統計検定$2$級のテキストとの対応がわかりやすいように、目次を「統計検定$2$級対応 統計学基礎」と対応させました。学びやすさの観点からあえて目次を対応させましたが、当まとめは「統計の森」オリジナルのコンテンツであり、統計検定の公式とは一切関係ないことにご注意ください。

・統計検定$2$級対応・統計学入門まとめ
https://www.hello-statisticians.com/stat_basic

変動係数の概要

概要

標準偏差を元に散らばり具合を数値化することができますが、「食料品の購買」と「車の購買」のように品物の平均金額が変わると散らばり具合も大きくなることに注意が必要です。

たとえば卵$1$個あたりの金額は高級品も含めて数十円〜数百円で入手が可能ですが、車は数百万〜数千万が概ねの相場だと思います。このとき、卵の標準偏差はせいぜい数十円〜数百円程度であるのに対して、車の場合は百万以上になるということはあり得ます。

このように平均価格が大きく異なる観測値を考える際に、平均価格が大きいものがばらつきが大きいという結果になりがちです。そこで平均価格に関係なくばらつきを表すにあたって変動係数(CV; Coefficient of Variation)という値を定義します。当記事では変動係数について詳しく確認を行いました。

必要な数学

変動係数の計算に用いる平均や標準偏差の式の定義にあたって、和を表す記号の$\displaystyle \sum$が用いられることが多いので、抑えておく必要があります。

変動係数

変動係数の式定義

変動係数を$CV$とおくと、$CV$は平均$\bar{x}$と標準偏差$S$を用いて下記のように定義されます。
$$
\large
\begin{align}
CV = \frac{S}{\bar{x}}
\end{align}
$$

変動係数の解釈

変動係数の解釈にあたっては、変動係数の逆数が下記のように$x_i = 2 \bar{x}$の標準化得点に一致することを元に考えると良いと思います。
$$
\large
\begin{align}
CV &= \frac{S}{\bar{x}} \\
&= \frac{1}{\bar{x}/S} \\
&= \left( \frac{2 \bar{x} – \bar{x}}{S} \right)^{-1}
\end{align}
$$