簡約階段形(reduced echelon form)の判定法と簡約階段化の手順

行列の階段形(echelon form)や簡約階段形(reduced echelon form)は交代行列の対角化を考える際などに出てくる考え方であり抑えておくと良いです。当記事では簡約階段形の判定法と簡約階段化の手順に関して取りまとめを行いました。
作成にあたっては「チャート式シリーズ 大学教養 線形代数」の第$2.2$節「行列の行基本変形」を主に参考にしました。

・数学まとめ
https://www.hello-statisticians.com/math_basic

簡約階段形の概要

階段形の定義

階段形の定義は上記で取りまとめを行なった。

$m \times n$行列$A = (a_{ij})$に関して下記の$[1]$〜$[3]$の条件が成立するとき、行列$A$が簡約階段形であるという。
$[1] \quad$ 行列$A$が階段形である
$[2] \quad$ 主成分が全て$1$である
$[3] \quad$ 各主列における主成分の上下の成分が全て$0$である

簡約階段化の手順

任意の行列$A$はそれぞれの行列に対応する「行基本変形」を行うことによって簡約階段化を行うことができる。行列の簡約階段形は与えられた行列に対して$1$通りに定まることも合わせて抑えておくと良い。

簡約階段形の判定法と簡約階段化の手順の具体例の確認

以下、「チャート式シリーズ 大学教養 線形代数」の例題の確認を行う。

基本例題$027$

$$
\large
\begin{align}
\left( \begin{array}{ccc} 1 & 2 & -2 \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \\ 0 & 0 & 0 \end{array} \right)
\end{align}
$$

$(1,2)$成分と$(1,3)$成分が$0$でないので上記は簡約階段形ではない。

$$
\large
\begin{align}
\left( \begin{array}{cccc} 1 & 3 & 2 & 1 \\ 0 & 0 & 1 & 3 \\ 0 & 0 & 0 & 0 \end{array} \right)
\end{align}
$$

$(1,3)$成分が$0$ではないので上記は簡約階段形ではない。

$$
\large
\begin{align}
\left( \begin{array}{cccccc} 1 & 0 & 1 & 7 & 0 & 2 \\ 0 & 1 & 4 & 2 & 0 & -1 \\ 0 & 0 & 0 & 0 & 1 & 2 \end{array} \right)
\end{align}
$$

上記は簡約階段形である。

基本例題$029$

基本例題$030$

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