2.8.3 指数分布 〜統計検定2級対応・統計学入門まとめ〜

当まとめでは統計検定$2$級の公式テキストの副教材に用いることができるように、統計学入門に関して取り扱います。当記事では「統計検定$2$級対応 統計学基礎」の$2.8.3$節「指数分布」の内容を元に指数分布の確率密度関数や期待値・分散の計算に関して取りまとめました。
統計検定$2$級のテキストとの対応がわかりやすいように、目次を「統計検定$2$級対応 統計学基礎」と対応させました。学びやすさの観点からあえて目次を対応させましたが、当まとめは「統計の森」オリジナルのコンテンツであり、統計検定の公式とは一切関係ないことにご注意ください。

・統計検定$2$級対応・統計学入門まとめ
https://www.hello-statisticians.com/stat_basic

指数分布の概要

概要

指数分布は単位時間あたりの起こりやすさが一定のランダムな現象がある時、現象が起こるまでの待ち時間を取り扱う確率分布です。

発展事項①

単位時間あたりの起こりやすさが$\lambda$で一定のランダムな現象がある時、現象が起こるまでの待ち時間を確率変数$T$で表すと$T$は指数分布$\mathrm{Ex}(\lambda)$に従います。ここで指数分布の累積分布関数を$F(t)$とおくと$F(t)$は下記のように表されます。
$$
\large
\begin{align}
F(t) &= 1 – P(t < T) \\
&= 1-e^{-\lambda t} \quad (1)
\end{align}
$$

上記における$P(t < T)=e^{-\lambda t}$はポアソン分布$\mathrm{Po}(\lambda t)$の確率関数$\displaystyle f(x) = \frac{(\lambda t)^{x} e^{-\lambda t}}{x!}$に$x=0$を代入した場合に対応します。
$$
\large
\begin{align}
f(0) &= \frac{(\lambda t)^{0} e^{-\lambda t}}{0!} \\
&= e^{-\lambda t}
\end{align}
$$

また、$(1)$式の微分を計算することで指数分布の確率密度関数$f(x)$の導出を行うことができます。
$$
\large
\begin{align}
f(x) &= \frac{d}{dx} F(x) = \frac{d}{dx}(1-e^{-\lambda x}) \\
&= -e^{-\lambda x} \times (-\lambda x)’ \\
&= \lambda e^{-\lambda x}
\end{align}
$$

発展事項②

正規乱数の生成に用いるボックス・ミュラー法の式の導出にあたって、指数分布の累積分布関数に逆関数法が用いられるなど、指数分布は応用例が多いです。

発展事項③

ハザード関数などを考える際に、指数分布を拡張してワイブル分布などを考えます。

必要な数学

「連続型確率分布」の期待値や分散は「積分」を元に定義されるので、「積分」の概念の理解が必要です。指数関数の微積分は数Ⅲのトピックなので、詳しい式展開を理解するにあたってはある程度数Ⅲレベルの微積分を抑えておく必要があります。

統計検定$2$級で数Ⅲレベルの微積分が取り扱われることは少ないと思われるので、$+ \alpha$で学ぶと良い内容と考えておけば十分だと思います。

指数分布の確率密度関数・期待値・分散

指数分布の確率密度関数

指数分布$\mathrm{Ex}(\lambda)$の確率密度関数を$f(x)$とおくと、$f(x)$は下記のように表されます。
$$
\large
\begin{align}
f(x) = \lambda e^{-\lambda x}, \quad x \leq 0
\end{align}
$$

指数分布の期待値・分散

指数分布の期待値$E[X]$と分散$V[X]$はそれぞれ下記のように表されます。
$$
\large
\begin{align}
E[X] &= \frac{1}{\lambda} \\
V[X] &= \frac{1}{\lambda^2}
\end{align}
$$

上記の導出は下記で詳しく取り扱いました。