2.8.1 一様分布 〜統計検定2級対応・統計学入門まとめ〜

当まとめでは統計検定$2$級の公式テキストの副教材に用いることができるように、統計学入門に関して取り扱います。当記事では「統計検定$2$級対応 統計学基礎」の$2.8.1$節「一様分布」の内容を元に一様分布の確率密度関数や期待値・分散の計算に関して取りまとめました。
統計検定$2$級のテキストとの対応がわかりやすいように、目次を「統計検定$2$級対応 統計学基礎」と対応させました。学びやすさの観点からあえて目次を対応させましたが、当まとめは「統計の森」オリジナルのコンテンツであり、統計検定の公式とは一切関係ないことにご注意ください。

・統計検定$2$級対応・統計学入門まとめ
https://www.hello-statisticians.com/stat_basic

一様分布の概要

概要

一様分布は区間内のどの値も同じ起こりやすさを持つ分布で、確率に偏りのないサイコロの出目などが一例に挙げられます。確率の演習問題ではよく「同様に確からしい」という表現が用いられますが、この表現はサイコロの出目が「一様分布」に従うことを表します。

サイコロの出目は「離散型確率分布」の例である一方で、「統計検定$2$級対応 統計学基礎」の$2.8.1$節「一様分布」では「連続型確率分布」の括りで「一様分布」が紹介されます。よって以下では「連続型確率分布」の「一様分布」に関して確認を行います。

発展事項

一様分布に基づく乱数生成はモンテカルロ積分やMCMCなどの乱数に基づく推定を行う際に用いられます。乱数生成のアルゴリズムに関しては下記で詳しく取りまとめました。

必要な数学

「連続型確率分布」の期待値や分散は「積分」を元に定義されるので、「積分」の概念の理解が必要です。一様分布は多項式関数の一種であると考えられるので、数Ⅱレベルの積分を抑えておけば十分です。

一様分布の確率密度関数・期待値・分散

一様分布の確率密度関数

一様分布$\mathrm{Uniform}(a,b)$の確率密度関数を$f(x)$とおくと、$f(x)$は下記のように表されます。
$$
\large
\begin{align}
f(x) &= \frac{1}{b-a}, \quad (a \leq x \leq b) \\
&= 0, \quad \mathrm{Otherwise}
\end{align}
$$

上記の関数は$x$が区間$[a,b]$に含まれる場合は$\displaystyle \frac{1}{b-a}$、含まれない場合は$0$を返す関数です。

一様分布の期待値・分散

一様分布の期待値$E[X]$と分散$V[X]$はそれぞれ定義に基づいて下記のように導出することができます。

・期待値$E[X]$
$$
\large
\begin{align}
E[X] &= \int_{a}^{b} x \cdot \frac{1}{b-a} dx \\
&= \left[ \frac{x^2}{2(b-a)} \right]_{a}^{b} \\
&= \frac{b^2-a^2}{2(b-a)} \\
&= \frac{(a+b)\cancel{(b-a)}}{2 \cancel{(b-a)}} \\
&= \frac{a+b}{2}
\end{align}
$$

・期待値$V[X]$
$$
\large
\begin{align}
E[X^2] &= \int_{a}^{b} x^2 \cdot \frac{1}{b-a} dx \\
&= \left[ \frac{x^3}{3(b-a)} \right]_{a}^{b} \\
&= \frac{a^2+ab+b^2}{3} \\
V[X] &= E[X^2] – E[X]^2 \\
&= \frac{a^2+ab+b^2}{3} – \frac{(a+b)^2}{2^2} \\
&= \frac{4a^2+4ab+4b^2}{12} – \frac{3a^2+6ab+3b^2}{12} \\
&= \frac{a^2-2ab+b^2}{12} \\
&= \frac{(a-b)^2}{12}
\end{align}
$$