数学検定$2$級は数ⅡBまで相当の数学の基本トピックに関して取り扱った検定であり、統計学に必要な数学を身につける際の指標に役に立ちます。当記事では「日本数学検定協会 監修」の「数学検定問題集 $2$級」より、第$4$章の「微分・積分」の解説と演習問題の解答例などを取り扱いました。
・数学検定$2$級まとめ
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Contents
本章のまとめ
微分
積分
演習
計算技能問題
問題.$1$
$[1]$
下記のように計算できる。
$$
\large
\begin{align}
y &= 5x^2 – 6x + 4 \\
y’ &= 10x – 6
\end{align}
$$
$[2]$
下記のように計算できる。
$$
\large
\begin{align}
y &= x^3 – 3x + 1 \\
y’ &= 3x^2 – 3
\end{align}
$$
$[3]$
下記のように計算できる。
$$
\large
\begin{align}
y &= (2x-5)^2 \\
&= 4x^2 – 20x + 25 \\
y’ &= 8x – 20
\end{align}
$$
$[4]$
下記のように計算できる。
$$
\large
\begin{align}
y &= x(x+1)^{2} \\
&= x^3 + 2x^2 + x \\
y’ &= 3x^2 + 4x + 1
\end{align}
$$
問題.$2$
$[1]$
$f(x)=2x^2$とおくと$f'(x)$は下記のように得られる。
$$
\large
\begin{align}
f'(x) = 4x
\end{align}
$$
よって$x=1$における接線の方程式は下記のように表される。
$$
\large
\begin{align}
y – f(1) &= f'(1)(x-1) \\
y &= 4(x-1) + 2 \\
&= 4x – 2
\end{align}
$$
$[2]$
$f(x)=x^2-3x$とおくと$f'(x)$は下記のように得られる。
$$
\large
\begin{align}
f'(x) = 2x-3
\end{align}
$$
よって$x=1$における接線の方程式は下記のように表せる。
$$
\large
\begin{align}
y – f(1) &= f'(1)(x-1) \\
y &= -(x-1) – 2 \\
&= -x – 1
\end{align}
$$
$[3]$
$f(x)=x^2+x$とおくと$f'(x)$は下記のように得られる。
$$
\large
\begin{align}
f'(x) = 2x+1
\end{align}
$$
上記が$3$であるので$2x+1=3$より$x=1$である。$x=1$における接線の方程式は下記のように表せる。
$$
\large
\begin{align}
y – f(1) &= f'(1)(x-1) \\
y &= 3(x-1) + 2 \\
&= 3x – 1
\end{align}
$$
問題.$3$
$[1]$
定積分の値は下記のように計算できる。
$$
\large
\begin{align}
\int_{-2}^{3} (6x^2-4x+1) dx &= \left[ 2x^3-2x^2+x \right]_{-2}^{3} \\
&= (2 \cdot 3^3 – 2 \cdot 3^2 + 3) – (2 \cdot (-2)^3 – 2 \cdot (-2)^2 + (-2)) \\
&= 54 – 18 + 3 -(-16 – 8 – 2) = 65
\end{align}
$$
$[2]$
定積分の値は下記のように計算できる。
$$
\large
\begin{align}
\int_{2}^{3} (x^2+3x-4) dx &= \left[ \frac{1}{3}x^3 + \frac{3}{2}x^2 – 4x \right]_{2}^{3} \\
&= \left( 9 + \frac{27}{2} – 12 \right) – \left( \frac{8}{3} + 6 – 8 \right) \\
&= \frac{59}{6}
\end{align}
$$
$[3]$
定積分の値は下記のように計算できる。
$$
\large
\begin{align}
\int_{-1}^{2} (x+3)^{2} dx &= \left[ \frac{1}{3}(x+3)^{3} \right]_{-1}^{2} \\
&= \frac{1}{3}(5^3 – 2^3) \\
&= 39
\end{align}
$$
$[4]$
定積分の値は下記のように計算できる。
$$
\large
\begin{align}
\int_{-1}^{1} x(2x-1)^2 dx &= \int_{-1}^{1} (4x^3 – 4x^2 + x) dx \\
&= -2 \int_{0}^{1} 4x^2 dx \\
&= -2 \left[ \frac{4}{3}x^3 \right]_{0}^{1} \\
&= -\frac{8}{3}(1^3-0^3) \\
&= -\frac{8}{3}
\end{align}
$$
問題.$4$
$[1]$
面積は下記のように得られる。
$$
\large
\begin{align}
\int_{0}^{2} -(x^2-2x) dx &= -\left[ \frac{1}{3}x^{3} – x^2 \right]_{0}^{2} \\
&= – \left( \frac{8}{3} – 2^2 \right) \\
&= \frac{4}{3}
\end{align}
$$
$[2]$
面積は下記のように得られる。
$$
\large
\begin{align}
\int_{0}^{1} (x-x^2) dx &= \left[ \frac{1}{2}x^{2} – \frac{1}{3}x^3 \right]_{0}^{1} \\
&= \frac{1}{2} – \frac{1}{3} \\
&= \frac{1}{6}
\end{align}
$$
$[3]$
面積は下記のように得られる。
$$
\large
\begin{align}
\int_{0}^{1} x^2 dx + \int_{1}^{2} (x^2-4x+4) dx &= 2 \int_{0}^{1} x^2 dx \\
&= 2 \left[ \frac{1}{3}x^{3} \right]_{0}^{1} \\
&= \frac{2}{3}
\end{align}
$$
$[4]$
面積は下記のように得られる。
$$
\large
\begin{align}
\int_{-2}^{0} (-x^2-(x^2+4x)) dx &= -2 \int_{-2}^{0} (x^2+2x) dx \\
&= 2 \left[ \frac{1}{3}x^{3} + x^{2} \right]_{-2}^{0} \\
&= \frac{8}{3}
\end{align}
$$
数理技能問題
問題.$1$
放物線を$f(x)=ax^2$、点$P$に関して$x=x_p$、点$Q$に関して$x=x_q$のように表す。このとき直線$PQ$の傾きは下記のように表せる。
$$
\large
\begin{align}
\frac{f(x_q)-f(x_p)}{x_q-x_p} &= \frac{ax_q^2 – ax_p^2}{x_q-x_p} \\
&= \frac{a \cancel{(x_q-x_p)} (x_q+x_p)}{\cancel{(x_q-x_p)}} \\
&= a(x_p+x_q) \quad (1)
\end{align}
$$
また、$P$と$Q$の中点が$\displaystyle x=\frac{x_p+x_q}{2}$であるかつ、$f'(x)=2ax$であるので、$P$と$Q$の中点における傾きは下記のように表せる。
$$
\large
\begin{align}
f’ \left( \frac{x_p+x_q}{2} \right) &= 2a \cdot \frac{x_p+x_q}{2} \\
&= a(x_p+x_q) \quad (2)
\end{align}
$$
$(1)$と$(2)$が等しいことから、線分$PQ$と中点における接線の傾きは一致することが示される。
問題.$2$
$f(x)=x^{2}-2x$とおくと、$f'(x)=2x-2$である。ここで点$(a,f(a))$における接線の方程式は下記のように得られる。
$$
\large
\begin{align}
y – f(a) &= f'(a)(x-a) \\
y &= 2(a-1)(x-a) + a^2 – 2a
\end{align}
$$
ここで接線が$(3,-1)$を通るとき下記が成立する。
$$
\large
\begin{align}
-1 &= 2(a-1)(3-a) + a^2 – 2a \\
a^2 – 6a + 5 &= 0 \\
(a-1)(a-5) &= 0
\end{align}
$$
・$a=1$のとき
接線は下記のように得られる。
$$
\large
\begin{align}
y &= 2(a-1)(x-a) + a^2 – 2a \\
&= 2(1-1)(x-1) + 1^2 – 2 \cdot 1 \\
&= -1
\end{align}
$$
・$a=5$のとき
接線は下記のように得られる。
$$
\large
\begin{align}
y &= 2(a-1)(x-a) + a^2 – 2a \\
&= 2(5-1)(x-5) + 5^2 – 2 \cdot 5 \\
&= 8x – 25
\end{align}
$$
問題.$3$
球の中心を$O$、「球の中心から直円錐の底面への垂線」と「底面」の交点を$H$、直円錐の底面の円周上の$1$点を$P$とおく。このとき$\angle POH = \theta$、体積を$V$とおくと、直円錐の体積の公式より$V$は下記のように得られる。
$$
\large
\begin{align}
V &= \frac{1}{3} \pi (R \sin{\theta})^{2} (R + R\cos{\theta}) \\
&= \frac{\pi R^{3}}{3} \sin^{2}{\theta} (1+\cos{\theta}) \\
&= \frac{\pi R^{3}}{3} (1-\cos^{2}{\theta}) (1+\cos{\theta})
\end{align}
$$
上記に対し、$x=\cos{\theta}$とおくと、$V$は下記のように表せる。
$$
\large
\begin{align}
V &= \frac{\pi R^{3}}{3} (1-\cos^{2}{\theta}) (1+\cos{\theta}) \\
&= \frac{\pi R^{3}}{3} (-\cos^{3}{\theta} – \cos^{2}{\theta} + \cos{\theta} + 1) \\
&= \frac{\pi R^{3}}{3} (-x^3-x^2+x+1) \quad (1)
\end{align}
$$
ここで$\displaystyle 0 < \theta < \frac{\pi}{2}$より$0 < x < 1$である。よって、区間$0 < x < 1$における$f(x) = -x^3-x^2+x+1$を最大にする$x$を$(1)$式に代入すれば良い。$f'(x)$は下記のように計算できる。
$$
\large
\begin{align}
f'(x) &= -3x^2 – 2x + 1 \\
&= -(3x^2 + 2x -1) \\
&= -(3x-1)(x+1)
\end{align}
$$
上記より区間$0 < x < 1$における$f(x)$の増減表は下記のように表せる。
$$
\large
\begin{array}{|c|*5{c|}}\hline x & 0 & \cdots & \displaystyle \frac{1}{3} & \cdots & 1 \\
\hline f'(x) & & + & 0 & – & \\
\hline f(x) & & \nearrow & \displaystyle \max & \searrow & \\
\hline
\end{array}
$$
よって$(1)$式に$\displaystyle x = \frac{1}{3}$を代入することで$V$の最大値が下記のように得られる。
$$
\large
\begin{align}
V &= \frac{\pi R^{3}}{3} \left( -\frac{1}{3^3} – \frac{1}{3^2} + \frac{1}{3} + 1 \right) \\
&= \frac{32 \pi R^{3}}{81}
\end{align}
$$
問題.$4$
$[1]$
$$
\large
\begin{align}
\left( \frac{1}{3}(x-\alpha)^{3} \right)’ &= \left( \frac{1}{3}(x^{3} – 3x^{2}\alpha + 3x\alpha^{2} – \alpha^{3}) \right)’ \\
&= x^{2} – 2x \alpha + \alpha^{2} \\
&= (x-\alpha)^{2}
\end{align}
$$
上記より下記が成立する。
$$
\large
\begin{align}
\int (x-\alpha)^{2} dx = \frac{1}{3}(x-\alpha)^{3} + C
\end{align}
$$
$[2]$
下記のように式変形を行うことができる。
$$
\large
\begin{align}
\int_{\alpha}^{\beta} (x-\alpha)(x-\beta) dx &= \int_{\alpha}^{\beta} (x-\alpha)^{2} dx – \int_{\alpha}^{\beta} (\beta-\alpha)(x-\alpha) dx \\
&= \left[ \frac{1}{3}(x-\alpha)^{3} \right]_{\alpha}^{\beta} – \left[ \frac{1}{2}(\beta-\alpha)(x-\alpha)^{2} \right]_{\alpha}^{\beta} \\
&= \frac{1}{3} (\beta-\alpha)^3 – \frac{1}{2} (\beta-\alpha)^3 \\
&= \frac{2-3}{6} (\beta-\alpha)^3 \\
&= -\frac{1}{6} (\beta-\alpha)^3
\end{align}
$$
問題.$5$
$f(x)=x^2-2x+2$とおくと、$f'(x)=2x-2$より、点$(2,2)$における接線の方程式は下記のように表せる。
$$
\large
\begin{align}
y-2 &= f'(2)(x-2) \\
y &= 2(x-2) + 2 \\
&= 2x – 2
\end{align}
$$
よって面積は下記のように計算できる。
$$
\large
\begin{align}
\int_{0}^{2} [(x^2-2x+2) – (2x-2)] dx &= \int_{0}^{2} (x^2-4x+4) dx \\
&= \int_{0}^{2} (x-2)^{2} dx \\
&= \frac{1}{3} \left[ (x-2)^{3} \right]_{0}^{2} \\
&= \frac{1}{3}(0^{3} – (-2)^3) \\
&= \frac{8}{3}
\end{align}
$$