正規分布(Normal Distribution)のパラメータと確率密度関数の形状の変化

正規分布(Normal Distribution)の平均$\mu$や分散$\sigma^2$はそれぞれ平均とばらつき度合いを表すパラメータとされますが、それぞれの値によって確率密度関数の形状がどのように変わるかに関して考察されている場合が少ないと思われます。

そこで当記事では正規分布のパラメータが変わると確率密度関数の形状がどのように変化するかに関して取りまとめを行いました。具体的には「①平均を表す$\mu$が変わると確率密度関数$f(x)$が$x$方向に平行移動する」、「②$\sigma$が変化すると確率密度関数の最大値が変わる」、「③正規分布の分散の$1/2$乗の$\sigma$が確率密度関数の変曲点に一致する」などを確率密度関数の数式を元に確認を行いました。

確率密度関数と$\mu$の変化による平行移動

正規分布$N(\mu,\sigma^2)$の確率密度関数

確率変数$X$が$X \sim N(\mu,\sigma^2)$のように正規分布$N(\mu,\sigma^2)$に従う際の確率密度関数を$f(x)$とおくと、$f(x)$は下記のように表すことができる。
$$
\large
\begin{align}
f(x) = \frac{1}{\sqrt{2 \pi \sigma^2}} \exp \left( – \frac{(x-\mu)^2}{2 \sigma^2} \right)
\end{align}
$$

$\mu$の変化と確率密度関数の平行移動

・$N(0,\sigma^2)$
$$
\large
\begin{align}
f(x) = \frac{1}{\sqrt{2 \pi \sigma^2}} \exp \left( – \frac{x^2}{2 \sigma^2} \right)
\end{align}
$$

・$N(\mu,\sigma^2)$
$$
\large
\begin{align}
f(x) = \frac{1}{\sqrt{2 \pi \sigma^2}} \exp \left( – \frac{(x-\mu)^2}{2 \sigma^2} \right)
\end{align}
$$

上記で表した$N(0,\sigma^2), N(\mu,\sigma^2)$に関する確率密度関数の式より、$N(\mu,\sigma^2)$の確率密度関数は$N(0,\sigma^2)$の確率密度関数を$x$方向に$\mu$だけ平行移動させた関数であると考えることができる。

$\sigma$の値の変化による確率密度関数の形状の変化

確率密度関数の最大値

指数関数$f(x) = \exp(x)$は単調増加の関数であり、$x$が増加するとき$f(x)$も$x$に合わせて増加する。よって、確率密度関数の$\displaystyle \frac{1}{\sqrt{2 \pi \sigma^2}} \exp \left( – \frac{x^2}{2 \sigma^2} \right)$は$\displaystyle \frac{x^2}{2 \sigma^2} \geq 0$であることより、$\displaystyle \frac{x^2}{2 \sigma^2} = 0$であるときに最大値$\displaystyle \frac{1}{\sqrt{2 \pi \sigma^2}} \exp(0) = \frac{1}{\sqrt{2 \pi \sigma^2}}$をとることがわかる。

ここで$\displaystyle \frac{1}{\sqrt{2 \pi \sigma^2}} = \frac{1}{\sqrt{2 \pi} \sigma}$を$\sigma$に関して考えると、確率密度関数の最大値が$\sigma$の逆数に比例することがわかる。

これより、「分散が大きくなるにつれ確率密度関数の最大値が小さく」なり、「分散が小さくなるにつれて確率密度関数の最大値が大きく」なることがわかる。これは分散がばらつきの度合いを表すということと直感的に反しない結果であると考えることができる。

確率密度関数の変曲点

正規分布の確率密度関数の形状は、確率密度関数の$x$に関する$1$階微分、$2$階微分の式を元に増減表を描くことで数学的に把握することができる。

以下、$\displaystyle g(x) = \exp \left( – \frac{x^2}{2 \sigma^2} \right)$に対し、$1$階微分の$g'(x)$と$2$階微分の$g^{”}(x)$を計算する。
$$
\large
\begin{align}
g'(x) &= \exp \left( – \frac{x^2}{2 \sigma^2} \right) \times \left( – \frac{x^2}{2 \sigma^2} \right)’ \\
&= – \frac{x}{\sigma^2} \exp \left( – \frac{x^2}{2 \sigma^2} \right) \\
g^{”}(x) &= – \frac{1}{\sigma^2} \exp \left( – \frac{x^2}{2 \sigma^2} \right) – \frac{x}{\sigma^2} \exp \left( – \frac{x^2}{2 \sigma^2} \right) \times \left( – \frac{x^2}{2 \sigma^2} \right)’ \\
&= – \frac{1}{\sigma^2} \exp \left( – \frac{x^2}{2 \sigma^2} \right) – \frac{x}{\sigma^2} \exp \left( – \frac{x^2}{2 \sigma^2} \right) \times \left( – \frac{x}{\sigma^2} \right) \\
&= – \frac{1}{\sigma^2} \exp \left( – \frac{x^2}{2 \sigma^2} \right) + \frac{x^2}{\sigma^4} \exp \left( – \frac{x^2}{2 \sigma^2} \right) \\
&= \frac{1}{\sigma^4} (x^2-\sigma^2) \exp \left( – \frac{x^2}{2 \sigma^2} \right) \\
&= \frac{1}{\sigma^4} (x + \sigma)(x – \sigma) \exp \left( – \frac{x^2}{2 \sigma^2} \right)
\end{align}
$$

上記より、$g(x)$に関して下記のような増減表を作成することができる。
$$
\large
\begin{array}{|c|*9{c|}}\hline x & -\infty & \cdots & -\sigma & \cdots & 0 & \cdots & \sigma & \cdots & \infty \\
\hline g'(x)& 0 & + & + & + & 0 & – & – & – & 0 \\
\hline g^{”}(x)& + & + & 0 & – & – & – & 0 & + & + \\
\hline g(x)& 0 & \nearrow & \nearrow & \nearrow & 1 & \searrow & \searrow & \searrow & 0 \\
\hline
\end{array}
$$

上記より、$g(x)$は$x=0$で最大値をとり、$x = \pm \sigma$で変曲点をとることがわかる。

また、$f(x)$を$x$に着目して考えると定数$C$を用いて$f(x)=Cg(x)$のように表せるので、$f(x)$の変曲点は$g(x)$の変曲点に一致すると考えることができる。

したがって、正規分布$N(0,\sigma^2)$の確率密度関数の変曲点は$x = \pm \sigma$であり、これを$x$方向に平行移動させた$N(\mu,\sigma^2)$の確率密度関数の変曲点は$x = \mu \pm \sigma$であると考えることができる。

参考

・連続型確率分布
https://www.hello-statisticians.com/explain-terms-cat/probdist2.html