統計検定1級の2018年11月の「統計応用、人文科学」の問1の解答例と解説について取り扱いました。他の問題の解答に関しては下記よりご確認ください。
https://www.hello-statisticians.com/stat_certifi_1_app
問題
詳しくは統計検定公式よりご確認ください。
解答
$[1]$
$x$の取りうる範囲は$\max(0,n-4) \leq x \leq \min(6,n)$、確率$f_n(x)$の式は下記のように表すことができる。
$$
\large
\begin{align}
f_n(x) = \frac{ {}_{6} C_{x} \times {}_{4} C_{n-x} }{ {}_{10} C_{n} }
\end{align}
$$
また、$f_5(1), f_5(2)$はそれぞれ下記のように計算できる。
$$
\large
\begin{align}
f_5(1) &= \frac{ {}_{6} C_{1} \times {}_{4} C_{5-1} }{ {}_{10} C_{5} } \\
&= \frac{ 6 \cdot 5 \cdot 4 \cdot 3 \cdot 2 }{ 10 \cdot 9 \cdot 8 \cdot 7 \cdot 6 } \\
&= \frac{1}{42} = 0.023809… \\
f_5(2) &= \frac{ {}_{6} C_{2} \times {}_{4} C_{5-2} }{ {}_{10} C_{5} } \\
&= \frac{ 6 \cdot 5 \cdot 4 \cdot 5 \cdot 4 \cdot 3 \cdot 2 }{ 2 \cdot 10 \cdot 9 \cdot 8 \cdot 7 \cdot 6 } \\
&= \frac{5}{21} = 0.23809…
\end{align}
$$
$[2]$
$(1)$
・オッズ比
$$
\large
\begin{align}
\Omega &= \frac{ad}{bc} \\
&= \frac{2 \cdot 1}{4 \cdot 3} = \frac{1}{6}
\end{align}
$$
・ファイ係数
$$
\large
\begin{align}
\phi &= \frac{ad-bc}{\sqrt{(a+d)(a+c)(b+d)(c+d)}} \\
&= \frac{2 \cdot 1 – 4 \cdot 3}{\sqrt{(2+1)(2+3)(4+1)(3+1)}} \\
&= \frac{-10}{\sqrt{6 \cdot 5 \cdot 5 \cdot 4}} = -0.408…
\end{align}
$$
分割表から得られた上記の値を元に、群Aと群Bの間には差があるのではないかと考えることができる。
$(2)$
左上、右上、左下、右下の順に$a$〜$d$を割り振ったとき、群Aのサンプルが$6$、群Bのサンプルが$4$であることを元に、一様性の過程に基づく期待度数は$a=3, b=3, c=2, d=2$を考えることができる。
$(3)$
$\chi^2$統計量$Y$と、$Y$にイェーツの補正を施した$Y’$はそれぞれ下記のように計算することができる。
・$Y$
$$
\large
\begin{align}
Y &= \frac{(2-3)^2}{3} + \frac{(4-3)^2}{3} + \frac{(3-2)^2}{2} + \frac{(1-2)^2}{2} \\
&= \frac{(-1)^2}{3} + \frac{1^2}{3} + \frac{1^2}{2} + \frac{(-1)^2}{2} \\
&= 1.666…
\end{align}
$$
・$Y’$
$$
\large
\begin{align}
Y &= \frac{(|2-3|-0.5)^2}{3} + \frac{(|4-3|-0.5)^2}{3} + \frac{(|3-2|-0.5)^2}{2} + \frac{(|1-2|-0.5)^2}{2} \\
&= \frac{0.5^2}{3} + \frac{0.5^2}{3} + \frac{0.5^2}{2} + \frac{0.5^2}{2} \\
&= 0.4166…
\end{align}
$$
ここで$\chi^2_{\alpha=0.1}(1)=2.70…$より、帰無仮説は棄却できない。
$(4)$
$[1]$の結果から片側$P$値を$0.023809…+0.23809…=0.2619…$のように計算できる。よって帰無仮説は棄却できない。
解説
分割表の取り扱いに関しては「統計学実践ワークブック」の「第28章」や、「人文・社会科学の統計学」の「第2章」、「統計検定1級テキストの7.2節」などが詳しいので、詳しくはそちらを参照すると良いと思います。