Ch.1 「データの整理」の章末問題の解答例 〜数理統計学(共立出版)〜

当記事は「数理統計学(共立出版)」の読解サポートにあたってChapter.$1$の「データの整理」の章末問題の解答の作成を行いました。
基本的には書籍の購入者向けの解説なので、まだ入手されていない方は購入の上ご確認ください。また、解説はあくまでサイト運営者が独自に作成したものであり、書籍の公式ページではないことにご注意ください。

・解答まとめ
https://www.hello-statisticians.com/answer_textbook_math_stat#green

章末の演習問題について

問題1.1の解答例

第$1$標本四分位数 $\, \leq \,$ 標本平均 $\, \leq \,$ 第$3$標本四分位数 $\quad (1)$

・$[1]$
$n=3$のときは第$1$標本四分位数が$x_1$、第$3$標本四分位数が$x_3$である。標本平均は$x_1$以上かつ$x_3$以下であるので、$(1)$式が成立する。

$n=4$のときは第$1$標本四分位数が$\displaystyle \frac{x_1+x_2}{2}$、第$3$標本四分位数が$\displaystyle \frac{x_3+x_4}{2}$である。よって「標本平均ー第$1$標本四分位数」は下記のように表せる。
$$
\large
\begin{align}
\frac{x_1+x_2+x_3+x_4}{4} – \frac{x_1+x_2}{2} = \frac{1}{4}(-x_1-x_2+x_3+x_4) \geq 0
\end{align}
$$

同様に「第$3$標本四分位数ー標本平均」は下記のように表せる。
$$
\large
\begin{align}
\frac{x_3+x_4}{2} – \frac{x_1+x_2+x_3+x_4}{4} = \frac{1}{4}(-x_1-x_2+x_3+x_4) \geq 0
\end{align}
$$

したがって$n=4$のとき$(1)$式が成立する。

$n=5$のときは第$1$標本四分位数が$\displaystyle \frac{x_1+x_2}{2}$、第$3$標本四分位数が$\displaystyle \frac{x_4+x_5}{2}$である。よって「標本平均ー第$1$標本四分位数」は下記のように表せる。
$$
\large
\begin{align}
\frac{x_1+x_2+x_3+x_4+x_5}{5} – \frac{x_1+x_2}{2} = \frac{1}{10}(-3x_1-3x_2+2x_3+2x_4+2x_5) \geq 0
\end{align}
$$

同様に「第$3$標本四分位数ー標本平均」は下記のように表せる。
$$
\large
\begin{align}
\frac{x_4+x_5}{2} – \frac{x_1+x_2+x_3+x_4+x_5}{5} = \frac{1}{10}(-2x_1-2x_2-2x_3+3x_4+3x_5) \geq 0
\end{align}
$$

したがって$n=5$のとき$(1)$式が成立する。

・$[2]$
$n=6$のとき、第$1$標本四分位数が$x_2$、第$3$標本四分位数が$x_5$である。よって、$1,1,1,1,1,100$のように$x_6$の値だけを大きく設定することで$(1)$式が成立しない標本の値の作成ができる。

問題1.2の解答例

問題1.3の解答例