【上級】データサイエンス 数学ストラテジスト 公式問題集 解答例まとめ Q.1〜10

「データサイエンス 数学ストラテジスト 上級」はデータサイエンスの基盤である、確率・統計、線形代数、微積分、機械学習、プログラミングなどを取り扱う資格試験です。当記事では「日本数学検定協会」作成の「公式問題集」の演習問題$1$〜$10$の解答例を取り扱いました。

・数学検定まとめ
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演習問題

Q.1

$$
\large
\begin{align}
x^{2} + \frac{1}{x^2} = 10
\end{align}
$$

上記の式は下記のように変形できる。
$$
\large
\begin{align}
x^{2} + \frac{1}{x^2} &= 10 \\
\left( x + \frac{1}{x} \right)^{2} – 2 &= 10 \\
\left( x + \frac{1}{x} \right)^{2} &= 12
\end{align}
$$

ここで$x>1$より、$\displaystyle x + \frac{1}{x} = 2 \sqrt{3}$が成立するが、下記のように変形を行える。
$$
\large
\begin{align}
x + \frac{1}{x} &= 2 \sqrt{3} \\
x^{2} – 2 \sqrt{3} x + 1 &= 0 \\
x &= \sqrt{3} \pm \sqrt{3-1} = \sqrt{3} \pm \sqrt{2}
\end{align}
$$

$x>1$なので$x=\sqrt{2}+\sqrt{3}$が成立する。

・解説
$x>1$を元に$\pm$を外す際に注意が必要です。$\displaystyle x + \frac{1}{x} > 1$や$\sqrt{3}-\sqrt{2}<1$を途中計算で用いました。

Q.2

$n$角形の$1$つの点に対し、線分が対角線である点は$n-3$、辺である点は$2$つ存在する。ここで$n-3=2$であれば$p=q$である。よって$n=5$であれば良い。

・解説
問題集の解答では$2$点選ぶことを${}_{n} C_{2}$で表現されますが、このように表すと式がやや複雑です。$1$点はどの点を選んでも他の点に関する取り扱いは同じであることに着目することで計算を簡略化することが可能です。

Q.3

$$
\large
\begin{align}
y &= \log_{2}{\frac{1}{x}} \\
&= \log_{2}{x^{-1}} \\
&= -\log_{2}{x}
\end{align}
$$

上記より$(3)$のグラフが正しい。

Q.4

$$
\large
\begin{align}
\sqrt{10}x^2 – 2x + k = 0
\end{align}
$$

上記の方程式の解が$\sin{\theta}, \, \cos{\theta}$であるとき、二次方程式の解と係数の関係より下記が成立する。
$$
\large
\begin{align}
\sin{\theta} + \cos{\theta} &= \frac{2}{\sqrt{10}} \quad [1] \\
\sin{\theta} \cos{\theta} &= \frac{k}{\sqrt{10}} \quad [2]
\end{align}
$$

ここで$(1)$式の両辺の$2$乗は下記のように変形できる。
$$
\large
\begin{align}
(\sin{\theta} + \cos{\theta})^{2} &= \frac{2^2}{\sqrt{10}^2} \quad [1]’ \\
\sin^{2}{\theta} + \cos^{2}{\theta} + 2 \sin{\theta} \cos{\theta} &= \frac{2}{5} \\
1 + 2 \sin{\theta} \cos{\theta} &= \frac{2}{5} \\
2 \sin{\theta} \cos{\theta} &= -\frac{3}{5} \\
\sin{\theta} \cos{\theta} &= -\frac{3}{10} \quad [3]
\end{align}
$$

$[2], \, [3]$式より下記のように$k$の値が得られる。
$$
\large
\begin{align}
\frac{k}{\sqrt{10}} &= -\frac{3}{10} \\
k &= -\frac{3}{\sqrt{10}}
\end{align}
$$

上記より、元の二次方程式は下記のように表せる。
$$
\large
\begin{align}
\sqrt{10}x^2 – 2x + -\frac{3}{\sqrt{10}} &= 0 \\
10x^2 – 2 \sqrt{10} x + -3 &= 0
\end{align}
$$

二次方程式の解の公式より、上記の方程式の解は下記のように得られる。
$$
\large
\begin{align}
x &= \frac{\sqrt{10} \pm \sqrt{\sqrt{10}^{2} + 10 \cdot 3}}{10} \\
&= \frac{\sqrt{10} \pm 2 \sqrt{10}}{10} \\
&= -\frac{\sqrt{10}}{10}, \, \frac{3 \sqrt{10}}{10}
\end{align}
$$

上記より$(1)$が正しい。

Q.5

$$
\large
\begin{align}
\left( \frac{2}{x} \right)^{\log_{e}{2}} &= \left( \frac{3}{y} \right)^{\log_{e}{3}} \quad [1] \\
3^{-\log_{e}{x}} &= 2^{-\log_{e}{y}} \quad [2]
\end{align}
$$

上記に対し、$\displaystyle X=\frac{1}{x}, \, Y=\frac{1}{y}$のようにおくと、$[1], \, [2]$式は下記のように表せる。
$$
\large
\begin{align}
(2X)^{\log_{e}{2}} &= (3Y)^{\log_{e}{3}} \quad [1]’ \\
3^{\log_{e}{X}} &= 2^{\log_{e}{Y}} \quad [2]’
\end{align}
$$

上記の$[1]’$式の両辺の自然対数を取ると、下記が得られる。
$$
\large
\begin{align}
(2X)^{\log_{e}{2}} &= (3Y)^{\log_{e}{3}} \quad [1]’ \\
\log_{e}{2} \log_{e}{(2X)} &= \log_{e}{3} \log_{e}{(3Y)} \\
\log_{e}{2} (\log_{e}{2} + \log_{e}{X}) &= \log_{e}{3} (\log_{e}{3} + \log_{e}{Y}) \quad [1]^{”}
\end{align}
$$

同様に$[2]’$式の両辺の自然対数を取ると、下記が得られる。
$$
\large
\begin{align}
3^{\log_{e}{X}} &= 2^{\log_{e}{Y}} \quad [2]’ \\
\log_{e}{X} \log_{e}{3} &= \log_{e}{Y} \log_{e}{2} \\
\log_{e}{Y} &= \frac{\log_{e}{3}}{\log_{e}{2}} \log_{e}{X} \quad [2]^{”}
\end{align}
$$

ここで$[2]^{”}$式を$[1]^{”}$式に代入することで下記のように変形できる。
$$
\large
\begin{align}
\log_{e}{2} (\log_{e}{2} + \log_{e}{X}) &= \log_{e}{3} (\log_{e}{3} + \log_{e}{Y}) \quad [1]^{”} \\
\log_{e}{2} (\log_{e}{2} + \log_{e}{X}) &= \log_{e}{3} \left( \log_{e}{3} + \frac{\log_{e}{3}}{\log_{e}{2}} \log_{e}{X} \right) \\
\frac{1}{\log_{e}{2}} \cancel{\left( (\log_{e}{2})^{2} – (\log_{e}{3})^{2} \right)} \log_{e}{X} &= -\cancel{\left( (\log_{e}{2})^{2} – (\log_{e}{3})^{2} \right)} \\
\log_{e}{X} &= -\log_{e}{2} \\
\log_{e}{X} &= \log_{e}{2^{-1}} \\
X &= \frac{1}{2}
\end{align}
$$

上記を$[2]^{”}$式に代入することで下記が得られる。
$$
\large
\begin{align}
\log_{e}{Y} &= \frac{\log_{e}{3}}{\log_{e}{2}} \log_{e}{X} \quad (2)^{”} \\
\log_{e}{Y} &= \frac{\log_{e}{3}}{\log_{e}{2}} \cdot -\log_{e}{2} \\
\log_{e}{Y} &= -\log_{e}{3} \\
\log_{e}{Y} &= \log_{e}{3^{-1}} \\
Y &= \frac{1}{3}
\end{align}
$$

ここで$\displaystyle X=\frac{1}{x}, \, Y=\frac{1}{y}$であるので、$x=2, y=3$である。よって$x^2+y^2=13$であるので$(1)$が正しい。

Q.6

$$
\large
\begin{align}
f(x) = x|x-3|
\end{align}
$$

上記より、$x<3$のとき$f(x)=-x(x-3)=-x^2+3x, \, f'(x)=-2x+3$、$3 \leq x$のとき$f(x)=x(x-3)=x^2-3x, \, f'(x)=2x-3$である。よって$f'(2)-f'(4)$は下記のように計算できる。
$$
\large
\begin{align}
f'(2) – f'(4) &= (-2 \cdot 2 + 3) – (2 \cdot 4 – 3) \\
&= -1 – 5 \\
&= -6
\end{align}
$$

上記より$(1)$が正しい。

Q.7

$$
\large
\begin{align}
f(x) = \int_{-1}^{x} (t^2-t-2) dt
\end{align}
$$

$g(t)=t^2-t-2$の原始関数を$G(t)$とおくと、$f'(x)$は下記のように得ることができる。
$$
\large
\begin{align}
f'(x) &= \frac{d}{dx} \int_{-1}^{x} g(t) dt \\
&= \frac{d}{dx} (G(x)-G(-1)) \\
&= g(x) \\
&= x^2 – x – 2 \\
&= (x+1)(x-2)
\end{align}
$$

上記より、関数$f(x)$は$x=-1$で極大値$M$、$x=2$で極小値$m$を取る。$M$と$m$はそれぞれ下記のように計算できる。
$$
\large
\begin{align}
M &= f(-1) = \int_{-1}^{-1} (t^2-t-2) dt \\
&= 0 \\
m &= f(2) = \int_{-1}^{2} (t^2-t-2) dt \\
&= \left[ \frac{1}{3}t^{3} – \frac{1}{2}t^{2} – 2t \right]_{-1}^{2} \\
&= \left( \frac{8}{3} – 2 – 4 \right) – \left( -\frac{1}{3} – \frac{1}{2} + 2 \right) \\
&= \frac{16-36+2+3-12}{6} \\
&= -\frac{27}{6} \\
&= -\frac{9}{2}
\end{align}
$$

上記より$(4)$が正しい。

Q.8

$\displaystyle X \sim \mathrm{Bin} \left( 90, \frac{1}{3} \right)$であるので、期待値$E[X]$と標準偏差$SD[X]=\sqrt{V[X]}$はそれぞれ下記のように計算できる。
$$
\large
\begin{align}
E[X] &= 90 \times \frac{1}{3} \\
&= 30 \\
SD[X] &= \sqrt{V[X]} \\
&= \sqrt{90 \times \frac{1}{3} \times \frac{2}{3}} \\
&= \sqrt{20} = 2 \sqrt{5}
\end{align}
$$

上記より、$(5)$が正しい。

Q.9

$$
\large
\begin{align}
I_{A} &= -\log_{2}{p_{A}} \\
p_{A} &= \frac{2}{10} \times \frac{1}{9} \\
&= \frac{1}{45}
\end{align}
$$

上記より選択情報量$I_{A}$は下記のように計算できる。
$$
\large
\begin{align}
I_{A} &= -\log_{2}{\frac{1}{45}} \\
&= \log_{2}{(3^{2} \times 5)} \\
&= 2 \log_{2}{3} + \log_{2}{5} \\
&= 2 \times 1.585 + 2.322 \\
&= 5.492
\end{align}
$$

よって$(3)$が正しい。

Q.10

$$
\large
\begin{align}
\vec{a} = \left(\begin{array}{c} 3 \\ -2 \\ 1 \end{array} \right), \quad \vec{b} = \left(\begin{array}{c} -6 \\ k \\ -2 \end{array} \right)
\end{align}
$$

$\vec{a}$と$\vec{b}$が平行のとき、$-2\vec{a} = \vec{b}$が成立する必要がある。このとき$k=4$である。逆に$k=4$のとき$\vec{a}$と$\vec{b}$が平行であるので、$k_1=4$が必要十分である。

$\vec{a} \perp \vec{b}$のとき、$\vec{a} \cdot \vec{b} = 0$より下記が成立する。
$$
\large
\begin{align}
\vec{a} \cdot \vec{b} &= 0 \\
-18 – 2k -2 &= 0 \\
k &= -10
\end{align}
$$

よって$k_2=-10$である。したがって$(3)$が正しい。