数学検定$2$級は数ⅡBまで相当の数学の基本トピックに関して取り扱った検定であり、統計学に必要な数学を身につける際の目安になります。当記事では「日本数学検定協会 監修」の「数学検定問題集 $2$級」の数学検定$2$級の内容に基づき、過去問題③の解答例と解説の作成を行いました。
・数学検定$2$級まとめ
https://www.hello-statisticians.com/math_certificate_2
Contents
- 1 $1$次:計算技能検定
- 1.1 問題$1 \,$ 式の展開
- 1.2 問題$2 \,$ 因数分解の公式
- 1.3 問題$3 \,$ 二重根号
- 1.4 問題$4 \,$ 三角比・三角関数
- 1.5 問題$5 \,$ 順列・組み合わせ
- 1.6 問題$6 \,$ 集合と要素
- 1.7 問題$7 \,$ 二次方程式の判別式
- 1.8 問題$8 \,$ 因数定理
- 1.9 問題$9 \,$ 二次方程式の解と係数
- 1.10 問題$10 \,$ 分母の複素数の実数化
- 1.11 問題$11 \,$ 対数の計算
- 1.12 問題$12 \,$ 点と直線の距離
- 1.13 問題$13 \,$ 多項式関数の定積分
- 1.14 問題$14 \,$ 等比数列の一般項
- 1.15 問題$15 \,$ ベクトルの内積
- 2 $2$次:数理技能検定
$1$次:計算技能検定
問題$1 \,$ 式の展開
下記のように式の展開を行うことができる。
$$
\large
\begin{align}
(x + 3y)(x^2 – 3xy + 9y^2) &= (x^3 – 3x^2y + 9xy^2) + (3xy^2 – 9xy^2 + 27y^3) \\
&= x^3 + 27y^3
\end{align}
$$
・別解
下記のように展開・因数分解の式を応用することもできる。
$$
\large
\begin{align}
(x + 3y)(x^2 – 3xy + 9y^2) &= (x + 3y)(x^2 – x(3y) + (3y)^2) \\
&= x^3 + (3y)^3 \\
&= x^3 + 27y^3
\end{align}
$$
問題$2 \,$ 因数分解の公式
因数分解の公式に基づいて下記のように因数分解を行える。
$$
\large
\begin{align}
x^3 – 3x^2y + 3xy^2 – y^3 = (x-y)^3
\end{align}
$$
問題$3 \,$ 二重根号
$$
\large
\begin{align}
(x-y)^2 &= x^2 – 2xy + y^2 \\
&= (x^2+y^2) – 2xy
\end{align}
$$
上記より、$5-2\sqrt{6}$は二乗の和が$5$で積が$\sqrt{6}$の数によって$x,y$が構成されることから$x=\sqrt{2}, y=\sqrt{3}$があてはまる。よって、下記のように二重根号を外せる。
$$
\large
\begin{align}
\sqrt{5-2\sqrt{6}} &= \sqrt{(\sqrt{3}-\sqrt{2})^2} \\
&= \sqrt{3}-\sqrt{2}
\end{align}
$$
問題$4 \,$ 三角比・三角関数
$\tan{\theta} = -3, \, 90^{\circ}<\theta<180^{\circ}$であるので、$\cos{\theta}$は下記のように得られる。
$$
\large
\begin{align}
\cos{\theta} &= -\frac{1}{\sqrt{3^2+1^2}} \\
&= -\frac{1}{\sqrt{10}}
\end{align}
$$
問題$5 \,$ 順列・組み合わせ
${}_{6} C_{3}$通りであるので下記のように計算できる。
$$
\large
\begin{align}
{}_{6} C_{3} &= \frac{6 \cdot 5 \cdot 4}{3 \cdot 2 \cdot 1} \\
&= 20
\end{align}
$$
問題$6 \,$ 集合と要素
積集合$A \cap B$は下記のように表せる。
$$
\large
\begin{align}
A \cap B = \{ 1,7 \}
\end{align}
$$
問題$7 \,$ 二次方程式の判別式
二次方程式$2x^2+4kx+5k+3=0$の判別式$D$が$D>0$となるような$k$の範囲を求めれば良い。よって下記のように計算を行えば良い。
$$
\large
\begin{align}
\frac{D}{4} = (2k)^2 – 2(5k+3) & > 0 \\
2k^2 – 5k – 3 & > 0 \\
(2k+1)(k-3) & > 0
\end{align}
$$
上記より$\displaystyle k < -\frac{1}{2}, 3 < k$が得られる。
問題$8 \,$ 因数定理
$f(x)=x^3+3x^2+ax+4$が$x-2$で割り切れるとき、因数定理より$f(2)=0$が成立する。よってこのときの$a$は下記のように得られる。
$$
\large
\begin{align}
f(2) = 2^3 + 3 \cdot 2^2 + 2a + 4 &= 0 \\
a &= -12
\end{align}
$$
問題$9 \,$ 二次方程式の解と係数
解と係数の関係より$\alpha+\beta, \alpha \beta$は下記のように表される。
$$
\large
\begin{align}
\alpha + \beta &= -\frac{2}{3} \\
\alpha \beta &= \frac{1}{3}
\end{align}
$$
よって$\alpha^2+\beta^2$の値は下記のように得られる。
$$
\large
\begin{align}
\alpha^2+\beta^2 &= (\alpha+\beta)^2 – 2 \alpha \beta \\
&= \left( -\frac{2}{3} \right)^2 – 2 \cdot \frac{1}{3} \\
&= \frac{4}{9} – \frac{2}{3} \\
&= \frac{4}{9} – \frac{6}{9} \\
&= -\frac{2}{9}
\end{align}
$$
問題$10 \,$ 分母の複素数の実数化
等式は下記のように変形できる。
$$
\large
\begin{align}
a + bi &= \frac{3+i}{2-i} \\
&= \frac{(3+i)(2+i)}{(2-i)(2+i)} \\
&= \frac{6+5i+i^2}{2^2-i^2} \\
&= \frac{6+5i-1}{2^2+1} \\
&= \frac{5(1+i)}{5} \\
&= 1 + i
\end{align}
$$
上記より$a=1, b=1$が得られる。
問題$11 \,$ 対数の計算
下記のように式変形を行える。
$$
\large
\begin{align}
(\log_{3}{2} + \log_{3}{8}) \cdot \log_{4}{3} &= \log_{3}{2^4} \cdot \frac{\log_{3}{3}}{\log_{3}{4}} \\
&= \frac{4 \log_{3}{2}}{2 \log_{3}{2}} \\
&= 2
\end{align}
$$
問題$12 \,$ 点と直線の距離
点と直線の距離の公式に基づいて下記のように計算できる。
$$
\large
\begin{align}
d &= \frac{|0-3-7|}{\sqrt{1^2+3^2}} \\
&= \sqrt{10}
\end{align}
$$
問題$13 \,$ 多項式関数の定積分
下記のように計算できる。
$$
\large
\begin{align}
\int_{0}^{2} (x^2-1) dx &= \left[ \frac{1}{3}x^3 – x \right]_{0}^{2} \\
&= \frac{2^3}{3} – 2 \\
&= \frac{2}{3}
\end{align}
$$
問題$14 \,$ 等比数列の一般項
$[1]$
数列の一般項を$a_n$、公比を$r$とおくと、$a_n = a_0 r^n$である。よって$r$に関して下記が成立する。
$$
\large
\begin{align}
\frac{a_4}{a_1} = \frac{a_0 r^4}{a_0 r} &= \frac{48}{6} \\
r^{3} &= 8 \\
r &= 2
\end{align}
$$
$[2]$
$[1]$の結果より、$a_1=2a_0$であるので$a_0=3$である。よって$a_6$は下記のように得られる。
$$
\large
\begin{align}
a_6 &= a_0 r^6 \\
&= 3 \times 2^6 \\
&= 192
\end{align}
$$
・注意事項
高校数学の範囲では$a_n=a_1r^{n-1}$の場合が多いが、一般的には$a_n=a_0r^n$で用いられることが多いので、ここでは$a_0$を用いました。
問題$15 \,$ ベクトルの内積
$[1]$
内積の定義式に基づいて下記のように計算できる。
$$
\large
\begin{align}
\vec{a} \cdot \vec{b} &= |\vec{a}||\vec{b}| \cos{120^{\circ}} \\
&= 2 \times 3 \times -\frac{1}{2} \\
&= -3
\end{align}
$$
$[2]$
下記のように計算できる。
$$
\large
\begin{align}
|\vec{a}+2\vec{b}| &= \sqrt{(\vec{a}+2\vec{b}) \cdot (\vec{a}+2\vec{b})} \\
&= \sqrt{|\vec{a}|^2 + |\vec{b}|^2 + 2\vec{a} \cdot \vec{b}} \\
&= \sqrt{2^4 + 3^4 + 2 \cdot (-3)} \\
&= \sqrt{28} \\
&= 2 \sqrt{7}
\end{align}
$$
$2$次:数理技能検定
問題$1 \,$
問題$2 \,$ 確率と期待値
$[1]$
下記のように計算できる。
$$
\large
\begin{align}
\frac{1}{6} \times \frac{5}{6} + \frac{5}{6} \times \frac{1}{6} = \frac{5}{18}
\end{align}
$$
$[2]$
期待値を$E[X]$とおくと$E[X]$は下記のように計算できる。
$$
\large
\begin{align}
E[X] &= 3 \cdot \frac{1}{6^2} + 2 \cdot \frac{5}{18} + 1 \cdot \left( 1 – \frac{1}{6^2} – \frac{10}{6^2} \right) \\
&= \frac{1}{6^2} (3 + 20 + 25) \\
&= \frac{4}{3}
\end{align}
$$
問題$3 \,$ 直線と円の交点と円の接線
$$
\large
\begin{align}
x^2+y^2 &= 5 \\
x+y &= 1
\end{align}
$$
$[1]$
$y=-x+1$を$x^2+y^2=5$に代入すると下記が得られる。
$$
\large
\begin{align}
x^2 + (-x+1)^2 &= 5 \\
x^2 + x^2 – 2x + 1 – 5 &= 0 \\
2(x-2)(x+1) &= 0
\end{align}
$$
上記より、$\overrightarrow{OP}$と$\overrightarrow{OQ}$は下記のように表せる。
$$
\large
\begin{align}
\overrightarrow{OP} &= \left(\begin{array}{c} -1 \\ 2 \end{array} \right) \\
\overrightarrow{OQ} &= \left(\begin{array}{c} 2 \\ -1 \end{array} \right)
\end{align}
$$
$[2]$
$\overrightarrow{OR}$は下記の$2$通りで表せる。
$$
\large
\begin{align}
\overrightarrow{OR} &= \overrightarrow{OP} + k \left(\begin{array}{c} 2 \\ 1 \end{array} \right) = \left(\begin{array}{c} -1+2k \\ 2+k \end{array} \right) \quad (1) \\
\overrightarrow{OR} &= \overrightarrow{OQ} + l \left(\begin{array}{c} 1 \\ 2 \end{array} \right) = \left(\begin{array}{c} 2+l \\ -1+2l \end{array} \right) \quad (2)
\end{align}
$$
$(1)$と$(2)$が一致することに基づく連立方程式を解くと$k=3, l=3$が得られる。よって$\overrightarrow{OR}$は下記のように表せる。
$$
\large
\begin{align}
\overrightarrow{OR} &= \left(\begin{array}{c} -1+2k \\ 2+k \end{array} \right) \quad (1) \\
&= \left(\begin{array}{c} -1+6 \\ 2+3 \end{array} \right) \\
&= \left(\begin{array}{c} 5 \\ 5 \end{array} \right)
\end{align}
$$
問題$4 \,$ 数列の和と一般項
$$
\large
\begin{align}
S_{n} = n(n+1)(n+2)
\end{align}
$$
$[1]$
$n \geq 2$のとき一般項$a_n$は下記のように得られる。
$$
\large
\begin{align}
a_{n} &= S_{n} – S_{n-1} \\
&= n(n+1)(n+2) – (n-1)n(n+1) \\
&= n(n+1)[(n+2)-(n-1)] = 3n(n+1) \quad (1)
\end{align}
$$
また$a_1=S_1$より、$a_1 = S_1 = 1 \cdot 2 \cdot 3 = 6$であるが、$(1)$式に$n=1$を代入すると同様に$a_1=3 \cdot 1 \cdot 2=6$である。よって$n \geq 1$で$a_{n}=3n(n+1)$が成立する。
$[2]$
$\displaystyle \frac{1}{a_n} = \frac{1}{3n(n+1)}$について下記の式変形が成立する。
$$
\large
\begin{align}
\frac{1}{a_n} &= \frac{1}{3n(n+1)} \\
&= \frac{1}{3} \left[ \frac{1}{n} – \frac{1}{n+1} \right]
\end{align}
$$
よって$\displaystyle \sum_{i=1}^{99} \frac{1}{a_n}$は下記のように計算できる。
$$
\large
\begin{align}
& \sum_{i=1}^{99} \frac{1}{a_n} = \sum_{i=1}^{99} \frac{1}{3} \left[ \frac{1}{n} – \frac{1}{n+1} \right] \\
&= \frac{1}{3} \left( \frac{1}{1}-\cancel{\frac{1}{2}} \right) + \frac{1}{3} \left( \cancel{\frac{1}{2}}-\cancel{\frac{1}{3}} \right) + \cdots \frac{1}{3} \left( \cancel{\frac{1}{99}}-\frac{1}{100} \right) \\
&= \frac{1}{3} \left( 1 – \frac{1}{100} \right) \\
&= \frac{1}{3} \cdot \frac{99}{100} \\
&= \frac{33}{100}
\end{align}
$$
問題$5 \,$
問題$6 \,$ 対偶を用いた命題の証明
$[1]$
『$n^2+2n$が奇数 $\implies$ $n$は奇数』の対偶は『$n$が偶数 $\implies$ $n^2+2n$が偶数』である。
$[2]$
$n=2k, \, k \in \mathbb{N}$とおくと、$n^2+2n$は下記のように表せる。
$$
\large
\begin{align}
n^2 + 2n &= (2k)^2 + 2 \cdot 2k \\
&= 4k^2 + 4k \\
&= 2(2k^2+2k)
\end{align}
$$
よって『$n$が偶数 $\implies$ $n^2+2n$が偶数』が成立する。対偶が真であるので『$n^2+2n$が奇数 $\implies$ $n$は奇数』が成立する。
問題$7 \,$ 多項式関数の積分と面積
$$
\large
\begin{align}
p &: \, y = -x^2 + 3x \\
l &: \, y = 2x
\end{align}
$$
$[1]$
$-x^2 + 3x = 2x$は下記のように変形できる。
$$
\large
\begin{align}
-x^2 + 3x &= 2x \\
x^2 – x &= 0 \\
x(x-1) &= 0
\end{align}
$$
$x=0, 1$より、交点は$(0,0), \, (1,2)$である。
$[2]$
面積を$S$とおくと$S$は下記のように計算できる。
$$
\large
\begin{align}
S &= \frac{1}{2} \cdot 1 \cdot 2 + \int_{1}^{3} (-x^2+3x) dx \\
&= 1 + \left[ -\frac{1}{3}x^3 + \frac{3}{2}x^2 \right]_{1}^{3} \\
&= 1 + \frac{10}{3} = \frac{13}{3}
\end{align}
$$