$F(x,y)=0$で表される曲線の接線の方程式の公式と使用例の確認

当記事では$F(x,y)=0$のような陰関数形式の曲線の接線(tangent line)の方程式の公式に関して確認を行います。数Ⅱなどで$y=g(x)$の接線の公式は取り扱いますが、$F(x,y)=0$に関しても同様な数式に基づいて表されるので確認しておくと良いと思います。
作成にあたっては「チャート式シリーズ 大学教養 微分積分」の第$6$章「微分(多変数)」を主に参考にしました。

・数学まとめ
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$F(x,y)=0$の接線の方程式の計算

接線の方程式の公式

曲線$F(x,y)=0$に対して、下記のように偏微分を定義する。
$$
\large
\begin{align}
F_{x}(x,y) &= \frac{\partial F(x,y)}{\partial x} \\
F_{y}(x,y) &= \frac{\partial F(x,y)}{\partial y}
\end{align}
$$

このとき、$F(x,y)=0$上の点$(a,b)$に関して$F_{x}(a,b)=F_{y}(a,b)=0$が成立すれば$(a,b)$を曲線$F(x,y)=0$の特異点という。

一方で、$F_{x}(a,b) \neq 0$または$F_{y}(a,b) \neq 0$であれば点$(a,b)$は曲線$F(x,y)=0$の正則点という。ここで曲線$F(x,y)=0$上の正則点$(a,b)$における接線の方程式は下記のように表される。
$$
\large
\begin{align}
F_{x}(a,b)(x-a) + F_{y}(a,b)(y-b) = 0 \quad (1)
\end{align}
$$

多変数関数に関する合成関数の微分の使用例

以下、「チャート式シリーズ 大学教養 微分積分」の例題の確認を行う。

基本例題$118$

以下、曲線$x^3 + y^3 = 1$上の点$\displaystyle \left( \frac{1}{\sqrt[3]{2}}, \frac{1}{\sqrt[3]{2}} \right)$における接線の方程式の導出を行う。

計算にあたって$F(x,y) = x^3+y^3-1 = 0$とおくと、偏微分$F_{x}(x,y), F_{y}(x,y)$はそれぞれ下記のように計算を行うことができる。
$$
\large
\begin{align}
F_{x}(x,y) &= 3x^2 \\
F_{y}(x,y) &= 3y^2
\end{align}
$$

よって、$\displaystyle F_{x} \left( \frac{1}{\sqrt[3]{2}}, \frac{1}{\sqrt[3]{2}} \right), F_{y} \left( \frac{1}{\sqrt[3]{2}}, \frac{1}{\sqrt[3]{2}} \right)$はそれぞれ下記のように表せる。
$$
\large
\begin{align}
F_{x} \left( \frac{1}{\sqrt[3]{2}}, \frac{1}{\sqrt[3]{2}} \right) &= \frac{3}{\sqrt[3]{4}} \\
F_{y} \left( \frac{1}{\sqrt[3]{2}}, \frac{1}{\sqrt[3]{2}} \right) &= \frac{3}{\sqrt[3]{4}}
\end{align}
$$

したがって、下記のような接線の方程式を考えることができる。
$$
\large
\begin{align}
F_{x}(a,b)(x-a) + F_{y}(a,b)(y-b) &= 0 \\
\frac{3}{\sqrt[3]{4}} \left( x – \frac{1}{\sqrt[3]{2}} \right) + \frac{3}{\sqrt[3]{4}} \left( y – \frac{1}{\sqrt[3]{2}} \right) &= 0 \\
x + y – \frac{2}{\sqrt[3]{2}} &= 0 \\
x + y – 2^{1-1/3} &= 0 \\
x + y – \sqrt[3]{4} &= 0
\end{align}
$$

基本例題$119$