行列式と置換⑤:互換と巡回置換(cyclic permutation)

線形代数の枠組みで$n$次正方行列の行列式(determinant)を取り扱うにあたっては置換(permutation)という概念を抑えておく必要があります。当記事では互換(transpositions)と巡回置換(cyclic permutation)について取りまとめを行いました。
作成にあたっては「チャート式シリーズ 大学教養 線形代数」の第$4$章「行列式」を主に参考にしました。

・数学まとめ
https://www.hello-statisticians.com/math_basic

互換と巡回置換

互換

順列$1, 2, \cdots , n$について$i < j, \, i, j \in {1, 2, \cdots , n }$である$i$と$j$のみを入れ替え、他をそのままにする置換を互換という。$i$と$j$のみを入れ替える置換を$\sigma$とおくと、$\sigma$は下記のように表せる。
$$
\large
\begin{align}
\sigma(i) &= j \\
\sigma(j) &= i \\
\sigma(k) &= k, \quad k \neq i \cap k \neq j
\end{align}
$$

$i$と$j$を入れ替える互換$\sigma$は$\sigma=(i \quad j)$のようにも表記される。

巡回置換

順列$1, 2, \cdots , n$から$k$個の数字を抜き出し、それぞれ$i_1 < i_2 < \cdots < i_{k}$のように表す。このとき下記のような置換$\sigma$を巡回置換という。
$$
\large
\sigma :
\begin{cases}
i_1 & \longmapsto i_2 \\
i_2 & \longmapsto i_3 \\
\cdots \\
i_{k-1} & \longmapsto i_{k} \\
i_{k} & \longmapsto i_{1}
\end{cases}
$$

巡回置換$\sigma$は$\sigma=(i_1 \quad i_2 \quad \cdots \cdots \quad i_{k})$のようにも表記される。

例題の確認

以下、「チャート式シリーズ 大学教養 線形代数」の例題の確認を行う。

基本例題$057$

$$
\large
\begin{align}
(i_1 \quad i_2 \quad \cdots \cdots \quad i_{k}) = (i_1 \quad i_k)(i_1 \quad i_{k-1}) \cdots \cdots (i_1 \quad i_{2}) \quad (1)
\end{align}
$$

右辺の変換によって、$i_1 \, i_2 \, i_3 \, \cdots \cdots \, i_{k-1} \, i_k$は下記のように変換される。
$$
\large
\begin{align}
& i_1 \, i_2 \, i_3 \, \cdots \cdots \, i_{k-1} \, i_k \\
\longrightarrow & i_2 \, i_1 \, i_3 \, \cdots \cdots \, i_{k-1} \, i_k \\
\longrightarrow & i_2 \, i_3 \, i_1 \, \cdots \cdots \, i_{k-1} \, i_k \\
& \cdots \\
\longrightarrow & i_2 \, i_3 \, i_4 \, \cdots \cdots \, i_1 \, i_k \\
\longrightarrow & i_2 \, i_3 \, i_4 \, \cdots \cdots \, i_k \, i_1
\end{align}
$$

上記より$(1)$式が成立することが確認できる。