微分方程式(differential equation)の基本事項まとめ③|同次形

微分方程式(differential equation)は多くの応用先がありますが、統計学を学ぶにあたってもハザード関数から確率密度関数を導出する際などに用いられます。当記事では微分方程式の基本的な解法の$1$つである同次形に関して取りまとめました。
作成にあたっては「チャート式シリーズ 大学教養 微分積分」の第$9$章「微分方程式」を主に参考にしました。

・数学まとめ
https://www.hello-statisticians.com/math_basic

同次形の微分方程式

$$
\large
\begin{align}
\frac{dy}{dx} = f \left( \frac{y}{x} \right)
\end{align}
$$

上記の形式で表せる微分方程式を同時形という。このとき$\displaystyle u = \frac{y}{x}$とおくと$\displaystyle \frac{dy}{dx} = u + x \frac{du}{dx}$より、下記のように変数分離形に変形できる。
$$
\large
\begin{align}
\frac{dy}{dx} &= f \left( \frac{y}{x} \right) \\
u + x \frac{du}{dx} &= f(u) \\
x \frac{du}{dx} &= f(u)-u \\
x du &= (f(u)-u) dx \\
\frac{1}{f(u)-u} du &= \frac{1}{x} dx
\end{align}
$$

上記の両辺を積分し、$\displaystyle u = \frac{y}{x}$を代入することで微分方程式の解を得ることができる。

同次形の微分方程式の使用例

以下、「チャート式シリーズ 大学教養 微分積分」の例題の確認を行う。

基本例題$163$

・$[1]$
$$
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\begin{align}
y’ = \frac{dy}{dx} = \frac{y}{x+y}
\end{align}
$$

上記は下記のように変形を行える。
$$
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\begin{align}
\frac{dy}{dx} &= \frac{y}{x+y} \\
\frac{dy}{dx} &= \frac{\displaystyle \frac{y}{x}}{\displaystyle 1+\frac{y}{x}} \quad (1)
\end{align}
$$

上記に対し$\displaystyle u = \frac{y}{x}$とおく。このとき下記が成立する。
$$
\large
\begin{align}
\frac{dy}{dx} &= \frac{d}{dx}(ux) \\
&= u + x \frac{du}{dx}
\end{align}
$$

よって、$(1)$式は$u$を用いて下記のように表せる。
$$
\large
\begin{align}
\frac{dy}{dx} &= \frac{\displaystyle \frac{y}{x}}{\displaystyle 1+\frac{y}{x}} \quad (1) \\
u + x \frac{du}{dx} &= \frac{u}{1+u} \\
x \frac{du}{dx} &= \frac{u-(1+u)u}{1+u} \\
x \frac{du}{dx}x &= -\frac{u^2}{1+u} \\
-\left( \frac{1}{u^2}+\frac{1}{u} \right) du &= \frac{1}{x} dx \\
\int -\left( \frac{1}{u^2}+\frac{1}{u} \right) du &= \int \frac{1}{x} dx \\
\frac{1}{u} – \log{|u|} &= \log{|x|} + c
\end{align}
$$

上記に対し$\displaystyle u = \frac{y}{x}$を代入すると下記が得られる。
$$
\large
\begin{align}
\frac{1}{u} – \log{|u|} &= \log{|x|} + c \\
\frac{x}{y} – \log{\left| \frac{y}{x} \right|} &= \log{|x|} + c \\
\frac{x}{y} &= \log{\left| \frac{y}{x} \right|} + \log{|x|} + c \\
\log{\left| \frac{xy}{x} \right|} – \frac{x}{y} &= C \\
\log{|y|} – \frac{x}{y} &= C
\end{align}
$$

また、$u=0,y=0$のときは$(1)$式が成立するので、求める解は$\displaystyle y=0, \log{|y|} – \frac{x}{y} = C$である。

・$[2]$
・$[3]$

基本例題$164$

・$[1]$
・$[2]$
・$[3]$
・$[4]$
・$[5]$