微分可能性の確認と$C^{n}$級・$C^{\infty}$級関数の具体例の確認

微分可能性を考えるにあたって、$C^{n}$級・$C^{\infty}$級関数のような表記がよく用いられます。当記事では「チャート式シリーズ 大学教養 微分積分」の演習を元に$C^{n}$級・$C^{\infty}$級関数の例に基づいて具体的に微分可能性に関する確認を行いました。
作成にあたっては「チャート式シリーズ 大学教養 微分積分」の第$3$章「微分($1$変数)」を主に参考にしました。

・数学まとめ
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$C^{n}$級・$C^{\infty}$級関数と微分可能性

$C^{n}$級・$C^{\infty}$級関数$f(x)$は下記のように定義される。

$[1] \quad$ 関数$f(x)$が閉区間$I$で$n$回微分可能であり、$f^{(n)}(x)$が$I$で連続であるとき、$f(x)$は$C^{n}$級の関数である。
$[2] \quad$ 関数$f(x)$が閉区間$I$で何回でも微分可能であり、$f^{(n)}(x)$が$I$で連続であるとき、$f(x)$は$C^{\infty}$級の関数である。

$C^{n}$級・$C^{\infty}$級関数の具体例

以下、「チャート式シリーズ 大学教養 微分積分」の例題の確認を行う。

基本例題$050$

有理関数$\displaystyle \frac{f(x)}{g(x)}$が$g(x) \neq 0$が成立するの全ての実数$x$に関して$C^{\infty}$であることを示す。

$\displaystyle h(x) = \frac{f(x)}{g(x)}$、$l(x)$を任意の多項式関数とおくとき、$\displaystyle h^{(n)}(x) = \frac{f(x)}{g(x)^{2^{n}}}$のように表せることを以下、数学的帰納法を用いて示す。

$[1] \quad n=1$
$$
\large
\begin{align}
h^{(1)}(x) &= \left( \frac{f(x)}{g(x)} \right)’ \\
&= \frac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{g(x)^2} \\
&= \frac{l(x)}{g(x)^{2^{1}}}
\end{align}
$$

$[2] \quad n=k$で$\displaystyle h^{(n)}(x) = \frac{f(x)}{g(x)^{2^{n}}}$が成立すると仮定した場合の$h^{(k+1)}(x)$
$$
\large
\begin{align}
h^{(k+1)}(x) &= (h^{(k)}(x))’ \\
&= \left( \frac{f(x)}{g(x)^{2^{k}}} \right)’ \\
&= \frac{f'(x)g(x)^{2^{k}} – 2^{k}f(x)g(x)^{2^{k}-1}}{(g(x)^{2^{k}})^2} \\
&= \frac{g(x)^{2^{k}-1}(f'(x)g(x) – 2^{k}f(x))}{g(x)^{2^{2k}}} \\
&= \frac{f'(x)g(x) – 2^{k}f(x)}{g(x)^{2^{k+1}}} \\
&= \frac{l(x)}{g(x)^{2^{k+1}}}
\end{align}
$$

よって、$n=k$で$\displaystyle h^{(n)}(x) = \frac{f(x)}{g(x)^{2^{n}}}$が成立すると仮定した際に$n=k+1$でも同様に成立する。

$[1],[2]$より任意の自然数$n$に関して$\displaystyle h^{(n)}(x) = \frac{f(x)}{g(x)^{2^{n}}}$が成立する。よって、有理関数$\displaystyle \frac{f(x)}{g(x)}$は$g(x) \neq 0$が成立するの全ての実数$x$に関して$C^{\infty}$である。

基本例題$051$