基底(basis)・標準基底の定義と基底であるかどうかの判定

いくつかのベクトルによって部分空間(subspace)が構成されている際に、部分空間を生成する線型独立(linearly independent)なベクトルの組を基底(basis)といいます。当記事では基底・標準基底の定義と基底であるかどうかの判定について取り扱いました。
作成にあたっては「チャート式シリーズ 大学教養 線形代数」の第$5.3$節「基底と次元」を主に参考にしました。

・数学まとめ
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基底

基底の定義

下記の$[1], [2]$が成立するとき、ベクトル${ \mathbf{v}_{1}, \mathbf{v}_{2}, \cdots \mathbf{v}_{n-1}, \mathbf{v}_{n} }$がベクトル空間$V$の基底であるという。

$[1] \,$ ベクトル$\{ \mathbf{v}_{1}, \mathbf{v}_{2}, \cdots \mathbf{v}_{n-1}, \mathbf{v}_{n} \}$がベクトル空間$V$を生成し、$V=\left< \mathbf{v}_{1}, \mathbf{v}_{2}, \cdots \mathbf{v}_{n-1}, \mathbf{v}_{n} \right>$のように表せる。
$[2] \,$ ベクトル$\{ \mathbf{v}_{1}, \mathbf{v}_{2}, \cdots \mathbf{v}_{n-1}, \mathbf{v}_{n} \}$が$1$次独立である。

標準基底の定義

基底であるかどうかの判定

基底の定義の$[1], [2]$がそれぞれ成立するかに基づいて判定を行えばよい。

具体例の確認

以下、「チャート式シリーズ 大学教養 線形代数」の例題の確認を行う。

基本例題$051$

基底の定義の$[1], [2]$が成立するかどうかについてそれぞれ確認を行う。

$[1]$
任意の複素数は実数$a, b$を用いて$z = a+bi$のように書けるので、$\mathbb{C}$は${ 1, i }$を元に生成できる。

$[2]$
$a+bi=0$のとき下記が成立する。
$$
\large
\begin{align}
(a+bi)(a-bi) &= 0 \\
a^2 – b^2i^2 &= 0 \\
a^2 + b^2 &= 0
\end{align}
$$

このとき$a, b$が実数であるので$a=b=0$である。よって${ 1, i }$は$1$次独立である。

$[1], [2]$より${ 1, i }$が基底を与える。

基本例題$052$