11章「母標準偏差の区間推定と検定」の練習問題解答例〜例題で学ぶ初歩からの統計学[第2版]〜

当記事は「白砂, 例題で学ぶ初歩からの統計学 第2版 (日本評論社)」の読解サポートにあたって11章「母標準偏差の区間推定と検定:カイ二乗分布」の練習問題を解説します。
基本的には書籍の購入者向けの解説なので、まだ入手されていない方は下記より入手をご検討ください。また、解説はあくまでサイト運営者が独自に作成したものであり、書籍の公式ページではないことにご注意ください。(そのため著者の意図とは異なる解説となる可能性はあります)

執筆:@kakusan96

演習問題 解答例

11-1. カイ2乗分布表の読み方

①自由度$8$のカイ2乗分布の$0.5\%$点$(\chi^2_{0.005})$

自由度mのカイ2乗検定の右片側確率$\alpha$点の値を$\chi^2_{\alpha}(m)$とするとテキスト185ページのカイ2乗分布表より

$$\chi^2_{0.005}(8) = 21.955$$

②自由度$17$のカイ2乗分布の$99.5\%$点$(\chi^2_{0.995})$

$\chi^2_{0.995}(17) = 5.697$

③自由度$40$のカイ2乗分布の$97.5\%$点$(\chi^2_{0.975})$

$$\chi^2_{0.975}(40) = 24.433$$

④自由度$80$のカイ2乗分布の$1\%$点$(\chi^2_{0.01})$

$$\chi^2_{0.01}(80) = 112.329$$

11-2 母標準偏差の区間推定

母集団が正規分布に従うとき、そこから抽出した$n$個の標本$X_1, X_2 …, X_n$を抽出し、 $\frac{X-\mu}{\sigma}$という標準化された統計量を作ると、zは正規分布$N(\mu, \sigma^2)$に従う。さらに統計量$\chi^2$を$\chi^2 = \sum (\frac{X-\mu}{\sigma})^2$と定義すると$\chi^2$は自由度nのカイ2乗分布に従う。

上記の式では母平均$\mu$を使用しているが、実務において母平均が明らかになっていることは少ないため母平均$\mu$の代わりに標本平均$\bar{X}$を用いてカイ2乗分布を導いてみる。

$$
\begin{align*}
\chi^2 &= \sum (\frac{X-\bar{X}}{\sigma})^2\\
&=\frac{(n-1)\times\frac{\sum(X-\bar{X})^2}{n-1}}{\sigma^2}\\
&=\frac{(n-1)\times s^2}{\sigma^2}
\end{align*}
$$

となり、$\chi^2$は自由度n-1のカイ2乗分布に従うことになる。
統計量$\chi^2$が自由度n-1のカイ2乗分布に従うとき、信頼区間$\alpha$における母標準偏差の信頼区間を導く。

$$
\begin{align}
\chi^2_{\frac{1+α}{2}} \leq &\frac{(n-1)\times s^2}{\sigma^2} \leq \chi^2_{\frac{1-α}{2}} \\
\frac{1}{\chi^2_{\frac{1-α}{2}}} \leq &\frac{\sigma^2}{(n-1)\times s^2} \leq \frac{1}{\chi^2_{\frac{1+α}{2}}} \\
\sqrt{\frac{(n-1)\times s^2}{\chi^2_{\frac{1-α}{2}}}} \leq &\sigma \leq \sqrt{\frac{(n-1)\times s^2}{\chi^2_{\frac{1+α}{2}}}}
\end{align}
$$

問題文より

  • 標本標準偏差$s=6.3$
  • 標本サイズ$n=12$

母集団の標本標準偏差$\sigma$を信頼係数$90\%$で区間推定する。
自由度$(12-1=11)$で、カイ2乗分布における右片側確率$5\%$点、右片側確率$95\%$点はカイ2乗分布表よりそれぞれ

$\chi^2_{0.05}(11)=19.675 $

$\chi^2_{0.95}(11)=4.575 $

よって

$$
\begin{align}
\sqrt{\frac{(12-1)\times 6.3^2}{\chi^2_{\frac{1-0.90}{2}}}} \leq &\sigma \leq \sqrt{\frac{(12-1)\times 6.3^2}{\chi^2_{\frac{1+0.90}{2}}}} \\
\sqrt{\frac{11\times 6.3^2}{\chi^2_{0.05}}} \leq &\sigma \leq \sqrt{\frac{11\times 6.3^2}{\chi^2_{0.95}}} \\
\sqrt{\frac{11\times 6.3^2}{19.675}} \leq &\sigma \leq \sqrt{\frac{11\times 6.3^2}{4.575}} \\
4.71064 \leq &\sigma \leq 9.76880
\end{align}
$$

11-3 母標準偏差の区間指定

問題文より

  • 標本標準偏差$s=2.1$
  • 標本サイズ$n=14$

母集団の標本標準偏差$\sigma$を信頼係数$95\%$で区間推定する。
自由度$(14-1=13)$で、カイ2乗分布における右片側確率$2.5\%$点、右片側確率$97.5\%$点はカイ2乗分布表よりそれぞれ

$\chi^2_{0.25}(13)=24.736$

$\chi^2_{0.975}(13)=5.009 $

よって

$$
\begin{align}
\sqrt{\frac{(14-1)\times 2.1^2}{\chi^2_{\frac{1-0.95}{2}}}} \leq &\sigma \leq \sqrt{\frac{(14-1)\times 2.1^2}{\chi^2_{\frac{1+0.95}{2}}}} \\
\sqrt{\frac{13\times 2.1^2}{\chi^2_{0.025}}} \leq &\sigma \leq \sqrt{\frac{13\times 2.1^2}{\chi^2_{0.975}}} \\
\sqrt{\frac{13\times 2.1^2}{24.736}} \leq &\sigma \leq \sqrt{\frac{13\times 2.1^2}{5.009}} \\
1.52239 \leq &\sigma \leq 3.38310
\end{align}
$$

11-4 母標準偏差の検定[両側検定]

標本の大きさを$n$、標本標準偏差を$s$、比較する値を$\sigma_0$とすると以下の検定統計量$\chi^2_0$は自由度$n-1$のカイ2乗分布に従う。

$$\chi^2_0=\frac{(n-1)\times s^2}{\sigma_0}$$

この統計量と、あらかじめ設定した有意水準と自由度に対応する臨界値を比較し、棄却域に入るか採択域に入るか判定する。
帰無仮説を本日の容量のばらつきは管理している水準$(0.2\mathrm{ml})$と差がなかった($\sigma=0.2$)。対立仮説を本日の容量のばらつきは管理している水準$(0.2 \mathrm{ml})$と差があった($\sigma \neq 0.2$)として、有意水準の$1\%$の両側検定を行う。

問題文より

  • 標本標準偏差$s=0.4$
  • 標本サイズ$n=7$

$\chi^2_0=0.2$

缶ビールの容量の分布は正規分布に従うため、$\chi^2_0$は自由度6のカイ2乗分布に従う。検定統計量$\chi^2_0$を計算すると

$$
\begin{align}
\chi^2_0 &= \frac{(7-1)\times 0.4^2}{0.2} \\
\chi^2_0 &= 24.0
\end{align}
$$

自由度6のカイ2乗検定の有意水準$1\%$の両側検定における臨界値はカイ2乗分布表より

$\chi^2_{0.005}(6) = 18.548$

$\chi^2_{0.995}(6) = 0.676$

であり、$\chi^2_0 > \chi^2_{0.005}(6)$より、$\chi^2_0$は棄却域に入る。よって有意水準の$1\%$の両側検定において帰無仮説は棄却され、対立仮説が採択されるため、本日の容量のばらつきは管理している水準$(0.2 \mathrm{ml})$と差があったといえる。

11-5 母標準偏差の検定[左片側検定]

帰無仮説を$\sigma=0.5$、対立仮説を本日の帽子のサイズのばらつきは管理しているレベル(0.5mm以下)を満たしている。($\sigma<0.5$)として、有意水準の$1\%$の左片側検定を行う。

問題文より

  • 標本標準偏差$s=0.3$
  • 標本サイズ$n=25$

$\chi^2_0=0.5$

帽子のサイズの分布は正規分布に従うため、$\chi^2_0$は自由度$24$のカイ2乗分布に従う。検定統計量$\chi^2_0$を計算すると

$\chi^2_0=\frac{(25-1)\times 0.3^2}{0.5}$

$\chi^2_0=8.64$

自由度6のカイ2乗検定の有意水準$1\%$の左片側検定における臨界値はカイ2乗分布表より

$\chi^2_{0.99}(24) = 10.856$

であり、$\chi^2_0 < \chi^2_{0.99}(24)$より、$\chi^2_0$は棄却域に入る。よって有意水準の$1\%$の左片側検定において帰無仮説は棄却され、対立仮説が採択されるため、本日の帽子のサイズのばらつきは管理しているレベル(0.5mm以下)を満たしているといえる。