当記事は「数理統計学(共立出版)」の読解サポートにあたってChapter.$7$の「近似法則」の章末問題の解答の作成を行いました。
基本的には書籍の購入者向けの解説なので、まだ入手されていない方は購入の上ご確認ください。また、解説はあくまでサイト運営者が独自に作成したものであり、書籍の公式ページではないことにご注意ください。
・解答まとめ
https://www.hello-statisticians.com/answer_textbook_math_stat#green
章末の演習問題について
問題7.1の解答例
確率密度関数$f_{X}(x)$は特性関数$\phi_{X}(t)$に関して下記の反転公式が成立する。
$$
\large
\begin{align}
f_{X}(x) = \frac{1}{2 \pi} \int_{-\infty}^{\infty} \exp(-itx) \phi_{X}(t) dt
\end{align}
$$
上記を元に標準正規分布の特性関数$\displaystyle \phi_{X}(t) = e^{-\frac{t^2}{2}}$に基づいて、標準正規分布の確率密度関数$f_{X}(x)$の導出を行う。$(1)$式に$\displaystyle \phi_{X}(t) = e^{-\frac{t^2}{2}}$を代入すると下記のように変形を行える。
$$
\large
\begin{align}
f_{X}(x) &= \frac{1}{2 \pi} \int_{-\infty}^{\infty} \exp(-itx) \phi_{X}(t) dt \quad (1) \\
&= \frac{1}{2 \pi} \int_{-\infty}^{\infty} \exp(-itx) e^{-\frac{t^2}{2}} dt \\
&= \frac{1}{2 \pi} \int_{-\infty}^{\infty} \exp \left( -\frac{1}{2}(t^2-2itx) \right) dt \\
&= \frac{1}{2 \pi} \int_{-\infty}^{\infty} \exp \left( -\frac{1}{2}(t-ix)^2 + \frac{1}{2}(ix)^2 \right) dt \\
&= \frac{e^{-\frac{x^2}{2}}}{2 \pi} \int_{-\infty}^{\infty} \exp \left( -\frac{1}{2}(t-ix)^2 \right) dt \\
&= \frac{e^{-\frac{x^2}{2}}}{2 \pi} \sqrt{2 \pi} = \frac{1}{\sqrt{2 \pi}} e^{-\frac{x^2}{2}}
\end{align}
$$
上記より標準正規分布の確率密度関数に関して$\displaystyle f_{X}(x) = \frac{1}{\sqrt{2 \pi}} e^{-\frac{x^2}{2}}$が成立することが確認できる。