物価のような価格を表す価格指数によく用いられるのがラスパイレス指数(Laspeyres index)です。ラスパイレス指数の定義式が難しく書かれることが多いことで難しく見えますが実際にはそれほど難しくないので、当記事ではラスパイレス指数の解釈と具体例に関して取りまとめました。
「統計検定$2$級対応 統計学基礎」の$1.7.5$節の「指数の作成と利用」や、「統計検定 統計調査士対応 経済統計の実際」の$5.7$節の「国民経済計算、経済指数など」の内容を参考に作成を行いました。
・用語/公式解説
https://www.hello-statisticians.com/explain-terms
Contents
ラスパイレス指数
ラスパイレス指数の定義
基準年の第$i$財の価格を$p_{0i}$、購入数量を$q_{0i}$、対象年の第$i$財の価格を$p_{ti}$、購入数量を$q_{ti}$とおく。このとき「対象年に基準年と同じ購入量を購入した場合の総購入金額の比率」を表すラスパイレス価格指数$L_{t}$は下記のように定義される。
$$
\large
\begin{align}
L_{t} = \frac{\displaystyle \sum_{i=1}^{n} p_{ti} q_{0i}}{\displaystyle \sum_{i=1}^{n} p_{0i} q_{0i}} \times 100
\end{align}
$$
ラスパイレス指数の解釈
ラスパイレス指数(Laspeyres index)を用いる利点は「コストのかかる数量調査を基準年以外は行わなくて良い」点にある。たとえば「卵」の価格調査であれば、全国のスーパーの店舗を無作為に$1000$ほど抽出し、それぞれの価格の平均を計算することで価格の区間推定を行うことができる。
一方で、「卵」がいくつ売れたかの調査を行うにあたっては全数を数える必要があるので、流通した卵の総数を計算する必要がある。
このように、「価格調査」と「数量調査」のコストが同じでないことから、「基準年の数量を用いて計算する」というのがコストパフォーマンスの良い方法であると理解しておけば良い。