9章「仮説検定の方法(1):母平均の検定」の練習問題解答例〜例題で学ぶ初歩からの統計学[第2版]〜

当記事は「白砂, 例題で学ぶ初歩からの統計学 第2版 (日本評論社)」の読解サポートにあたって9章「仮説検定の方法(1):母平均の検定」の練習問題を解説します。
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執筆:@kakusan96

演習問題解答例

9-1.母平均の検定 [正規母集団で母標準偏差$\sigma$が既知・n<30 : 両側検定])

帰無仮説を本日のクリームパンの製造工程に異常はなかった($\mu=185.0$)、対立仮説を本日のクリームパンの製造に異常があった($\mu\neq185.0$)として、有意水準の5%の両側検定を行う。

問題文より、

母平均$\mu=185.0$
母標準偏差$\sigma=1.2$
標本数n=25
標本平均$\bar{x}=184.1$

であり、母集団は正規分布に従うため標本数が少なくても、帰無仮説が正しいとき標本平均の分布は正規分布$N\left(\mu, \frac{\sigma^2}{n} \right)$に従う。

標本平均の分布が正規分布に従うためz検定を行う。
検定統計量$z=\frac{\bar{x}-\mu}{\sigma / \sqrt{n}}$を計算すると
$$
\begin{align}
z&=\frac{184.1-185.0}{{1.2} / {\sqrt{25}}}\\
z&=-3.75
\end{align}
$$

今回は両側検定であるため$z_{{0.05}/{2}}=\pm 1.96$より、有意水準5%の両側検定における臨界値は$\pm 1.96$である。

$z<-1.96$より有意水準の5%の両側検定において帰無仮説は棄却され、対立仮説が採択されるため、本日の製造工程には異常があったといえる。

9-2.母平均の検定 [正規母集団で母標準偏差$\sigma$が既知・n$\geq$30 : 右片側検定])

帰無仮説をこのクラスの試験結果は過去の平均点と等しい($\mu=60.3$)、対立仮説をこのクラスの試験結果は過去の平均点を上回っている($\mu > 60.3$)として有意水準5%右片側検定を行う。

問題文より、
母平均$\mu=60.3$
母標準偏差$\sigma=11.2$
標本数n=49
標本平均$\bar{x}=63.5$

であり、母集団は正規分布に従うため、帰無仮説が正しいとき標本平均の分布は正規分布$N\left(\mu, \frac{\sigma^2}{n} \right)$に従う。

標本平均の分布が正規分布に従うためz検定を行う。
検定統計量$z=\frac{\bar{x}-\mu}{{\sigma} / {\sqrt{n}}}$を計算すると

$$
\begin{align}
z&=\frac{63.5-60.3}{{11.2} / {\sqrt{49}}}\\
z&=2.0
\end{align}
$$

$z > 1.645$より有意水準の5%の右片側検定において帰無仮説は棄却され、対立仮説が採択されるため、このクラスの試験結果は過去の平均点を上回っているといえる。

9-3.母平均の検定 [母集団分布の形と母標準偏差$\sigma$が未知・n$\geq$30 : 両側検定])

帰無仮説をアスピリン含有量の表記は正しい($\mu=330.0$)、対立仮説を($\mu\neq330.0$))として有意水準1%で両側検定を行う。

問題文より、
母平均$\mu=330.0$
母標準偏差$\sigma$が未知
標本数n=50
標本平均$\bar{x}=329.8$
標本標準偏差s=0.7

であり、今回は母標準偏差$\sigma$が未知であるため、母標準偏差$\sigma$を、標本の不偏分散の平方根で代用する。
母集団の分布が未知であるが標本数が十分にあるため(ここではn$\geq$30を十分な標本数とする)中心極限定理より標本平均の分布は正規分布$N\left(\mu, \frac{s^2}{n} \right)$に従う。

検定統計量を求める過程において標準化するにあたり、母標準偏差$\sigma$が未知で、標本の不偏分散の平方根で代用しているため、標準化した値の分布は自由度n-1のt分布になるが、標本数nが十分にあるため、標準正規分布に近似できる。

標本平均の分布が正規分布に従うためz検定を行う。
検定統計量$z=\frac{329.8-330.0}{{0.7} / {\sqrt{50}}}$を計算すると

$$z=-2.020$$

今回は両側検定であるため$z_{{0.01} / {2}}=\pm 2.576$より、有意水準5%の両側検定における臨界値は$\pm 2.576$である。
$z>-2.576$より有意水準1%の両側検定において帰無仮説は棄却されず、アスピリンの含有量の表記は誤りとは言えない。

9-4.母平均の検定 [正規母集団で母標準偏差$\sigma$が未知・n<30 : t検定 右片側検定])

帰無仮説を編集長の交代によって週刊誌の販売部数は変化していない($\mu=24.7$)、対立仮説を編集長の交代によって週刊誌の販売部数は増加した($\mu>24.7$))として有意水準5%で右片側検定を行う。

問題文より、
母平均$\mu=24.7$
母標準偏差$\sigma$が未知
標本数n=16
標本平均$\bar{x}=26.5$
標本標準偏差s=3.2

であり、母集団は正規分布に従うため、帰無仮説が正しいとき標本平均の分布は正規分布$N \left(\mu, \frac{\sigma^2}{n} \right)$に従う。

ただし母標準偏差$\sigma$が未知であるため、母標準偏差$\sigma$を、標本の不偏分散の平方根で代用する。
検定統計量を求める過程において標準化するにあたり、母標準偏差$\sigma$が未知で、標本の不偏分散の平方根で代用しているため、標準化した値の分布は自由度n-1のt分布になる。

標本平均の分布が自由度n-1のt分布に従うためt検定を行う。
検定統計量$t=\frac{26.5-24.7}{{3.2} / {\sqrt{25}}}$を計算すると

$$t=2.25$$

自由度15のt分布における有意水準5%の右片側検定の臨界点はt分布表より1.753である。$t>1.753$より有意水準5%の右片側検定において帰無仮説は棄却され、対立仮説が採択されるため、編集長の交代によって週刊誌の販売部数は増加したといえる。

9-5.母平均の検定 [正規母集団で母標準偏差$\sigma$が未知・n<30 : t分布 右片側検定])

帰無仮説をバッテリーの改良によって走行距離は伸びなかった($\mu=200$)、対立仮説をバッテリーの改良によって走行距離は伸びた($\mu>200$))として①有意水準5%で右片側検定、②有意水準1%で右片側検定を行う。

問題文より、
母平均$\mu=200$
母標準偏差$\sigma$が未知
標本数n=9
標本平均$\bar{x}=209$
標本の不偏分散の平方根s=12

であり、母集団は正規分布に従うため、帰無仮説が正しいとき標本平均の分布は正規分布$N\left(\mu, {\sigma^2}/ {n} \right)$に従う。
ただし母標準偏差$\sigma$が未知であるため、母標準偏差$\sigma$を、標本の不偏分散の平方根で代用する。
検定統計量を求める過程において標準化するにあたり、母標準偏差$\sigma$が未知で、標本の不偏分散の平方根で代用しているため、標準化した値の分布は自由度n-1のt分布になる。

標本平均の分布が自由度n-1のt分布に従うためt検定を行う。
検定統計量$t=\frac{209-200}{{12} / {\sqrt{9}}}$を計算すると

$$t=2.25$$

自由度8のt分布における有意水準5%の右片側検定の臨界点はt分布表より1.860である。$t>1.860$より有意水準5%の右片側検定において帰無仮説は棄却され、対立仮説が採択されるため、バッテリーの改良によって走行距離は伸びたといえる。

自由度8のt分布における有意水準1%の右片側検定の臨界点はt分布表より2.896である。$t<2.896$より有意水準1%の右片側検定において帰無仮説は棄却できず、バッテリーの改良によって走行距離は伸びたとは言えない。