統計検定準1級 問題解説 ~2017年6月実施 選択問題及び部分記述問題 問7~

過去問題

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解答

$\boxed{ \ \mathsf{7}\ }$ : ⑤

実験条件 $A$ のみをとりあげ,繰り返し数を $3$ として一元配置分散分析をしたときの各値を次のようにおく.

$$
\begin{flalign*}
   S_T&\mbox{:総平方和}&\\
   S_A&\mbox{:A間平方和}&\\
   S_E&\mbox{:残差平方和}&\\
\end{flalign*}
$$

また,これらの自由度をそれぞれ$\Phi_T,\Phi_A,\Phi_E$,分散を$V_T,V_A,V_E$とし,$F$値を$F$で表す.
さらに,実験日 $R$ と実験条件 $A$ の2因子により二元配置分散分析をするときの各値を上記と同様の記号に$’$をつけて
$S’_T, S’_A, S’_R, S’_E, \Phi’_T, \Phi’_A, \Phi’_E, V’_T, V’_A, V’_E, F’$ とする.

[1] $S_E = S_T – S_A$,$S’_E = S’_T – S’_A – S’_R$,$S_T = S’_T$,$S_A = S’_A$から,$S_E$と$S’_E$は一般には異なる.また,自由度も$\Phi_E < \Phi’_E$となるため,一般には$V_E =\dfrac{S_E}{\Phi_E}$と$V’_E=\dfrac{S’_E}{\Phi’_E}$は異なる(したがって,$F$値も変化する).

 [2] $S_A = S’_A$,$\Phi_A = \Phi’_A$ から $V_A = V’_A$ であり,$F=\dfrac{V_A}{V _E}$,$F’=\dfrac{V’_A}{V’_E}$.また,$1.$の考察から $V_E \neq V’_E$ なので,両者は一般には異なることがわかる.

[3] $S_A = S’_A$である.

[4] $\Phi’_E > \Phi_E$ であるが,$S_E = S’_E + S’_R$ であるから,ブロック因子$R$による変動が大きい場合には,$V_E > V’_E$となる.したがって,一元配置分散分析の方が実験条件$A$の効果の検出力が高いとは言えない.

[5] 正しい.

参考

・準$1$級関連まとめ
https://www.hello-statisticians.com/toukeikentei-semi1