統計検定2級問題解説 ~2021年6月実施~ (その1)

過去問題

過去問題は統計検定公式問題集が問題と解答例を公開しています。こちらを参照してください。


問1 解答

(歪度)

$\boxed{ \ \mathsf{1}\ }$ ①

歪度は,右に裾が長い分布では正の値になり,左に裾が長い分布では負の値になる。
問題のグラフは全体的に右に裾の長い分布となっている。


問2 解答

(年次変化率,幾何平均)

$\boxed{ \ \mathsf{2}\ }$ ②

時点(年,月など) $t$の観測値を$y_t$としたとき,
年次変化率 $(y_{t+1}-y_t)/y_t$ または $y_{t+1}/y_t-1$
$t$年$(1950\le{t}\le1954)$の観測値を$y_t$,年次変化率を$r$としたとき,変化率の平均は幾何平均となるので、
$$
\begin{align} 
r&=(y_{1951}/y_{1950}\times y_{1952}/y_{1951}\times y_{1953}/y_{1952}\times y_{1954}/y_{1953})^{1/4}-1\\
&=(y_{1954}/y_{1950})^{1/4}-1\fallingdotseq 0.154=15.4\%
\end{align}
$$
上式から明らかなことは,各年の変化率の幾何平均は
最初年の値を$y_0$,最後年の値を$y_t$,期間を$t$とすると $\left({y_t}/{y_0}\right)^{1/t}$ で求められる。


問3 解答

(価格指数)

$\boxed{ \ \mathsf{3}\ }$ ②

主な物価指数(デフレータ
・ラスパイレス物価指数…基準年の購入量や取引量等を重みとして算出した価格指数。
品目$i$の基準年価格$=p_{oi}$,基準年数量$=q_{oi}$,比較年価格$=p_{ti}$として$$P_L=\frac{\sum_ip_{ti}q_{0i}}{\sum_ip_{0i}q_{0i}}$$
・パーシェ物価指数…比較年の購入量や取引量等を重みとして算出した価格指数。
品目$i$の基準年価格$=p_{oi}$,比較年数量$=q_{ti}$,比較年価格$=p_{ti}$として$$P_P=\frac{\sum_ip_{ti}q_{ti}}{\sum_ip_{0i}q_{ti}}$$
・フィッシャー物価指数…ラスパイレス指数とパーシェ指数の幾何平均で求められる価格指数。$$P_F=\sqrt{P_L\times P_P}$$

問題は比較年のパーシェ指数を求めるので(基準年を$100$とする)、$$P_P=\frac{80\times80+90\times70}{78\times80+84\times70}\times100=104.8$$


問4 解答

(時系列データの指数化)

[1]

$\boxed{ \ \mathsf{4}\ }$ ③

東京都の$2019$年の新聞発行部数の指数はグラフから$57$
したがって、$1990$年から$2019$年にかけての新聞発行部数は、$1990$年を$100$として$100-57=43$減少したことになる。よって、減少部数は
 $5,190$万部$\times 13\%\times 43/100\fallingdotseq 290$万部

[2]

$\boxed{ \ \mathsf{5}\ }$ ①

問題にある前年比増加率の定義から、前年から減少している場合、増加率は負の値となる。
発行部数指数のグラフを見ると、$2005$年以降は東京都、鳥取県ともに毎年減少している。このことから、前年比増加率のグラフも$2005$年以降は両都県ともに負の値となっている必要がある。これを満たすグラフは①のみである。
(②は鳥取県の$2013$年、④は東京都の$2008$年、⑤は東京都の$2006$年でそれぞれ正の値をとっている。)


問5 解答

(散布図,相関係数,共分散)

[1]

$\boxed{ \ \mathsf{6}\ }$ ⑤

Ⅰ.散布図から、飛型点のとりうる範囲に比べ、飛距離点の取りうる範囲のほうが大きいく、ばらつきが大きいので、飛距離点のほうが分散が大きくなる。正しい。
Ⅱ.2つの散布図を比較すると、飛距離点と飛型点の散布図のほうがプロットされた点が直線状に分布しているので相関が強く、相関係数も高くなる。正しい。
Ⅲ.飛距離点と飛型点の散布図に回帰直線をあてはめると、明らかに$y$切片は正の値をとる。正しい。

[2]

$\boxed{ \ \mathsf{7}\ }$ ④

飛距離点の定義から、飛距離$x$は飛距離点$y$の$1/2$に比例する($x=y/2+68$)。
このとき、飛距離の分散は飛距離点の分散の$1/4$,標準偏差は$1/2$になる。
共分散は,2つのデータの平均からの偏差の積の和なので,片方のデータの平均からの偏差が$1/2$倍となれば,$1/2$倍となる。
相関係数は、共分散をそれぞれの標準偏差で割ったものだから、飛距離と飛型点の相関係数は飛距離点と飛型点の相関係数と等しくなる。


問6 解答

(相関係数,共分散)

$\boxed{ \ \mathsf{8}\ }$ ③

共分散$$\begin{align}s_{xy}&=\frac1{10}\sum_{i=1}^{10}(x_i-\bar{x})(y_i-\bar{y})\\&=\frac1{10}\sum_{i=1}^{10}x_iy_i-\frac1{10}\sum_{i=1}^{10}x_i\bar{y}-\frac1{10}\sum_{i=1}^{10}\bar{x}y_i+\frac1{10}\sum_{i=1}^{10}\bar{x}\bar{y}\\&=\frac1{10}\sum_{i=1}^{10}x_iy_i-\bar{x}\bar{y}\\&=\frac1{10}\sum_{i=1}^{10}x_iy_i-\frac1{10}\sum_{i=1}^{10}x_i\times\frac1{10}\sum_{i=1}^{10}y_i\\&= \frac1{10} \times4548.7-\frac1{10}\times346.3\times\frac1{10}\times121.8=33.08\end{align}$$
標準偏差$$\sigma_x=\sqrt{\frac{10-1}{10}s_x^2}=\sqrt{\frac{9}{10}\times167.4}=12.27$$$$\sigma_y=\sqrt{\frac{10-1}{10}s_y^2}=\sqrt{\frac{9}{10}\times11.6}=3.23$$
よって、相関係数は$$r=\frac{s_{xy}}{\sigma_x\sigma_y}=\frac{33.08}{12.27\times3.23}=0.83$$


問7 解答

(標本抽出法)

$\boxed{ \ \mathsf{9}\ }$ ④

多段抽出法・・・母集団をいくつかのグループ(第1段抽出単位)に分け,そこから無作為抽出でいくつかグループを選び,さらにその中から無作為抽出でいくつかのグループ(第2段抽出単位)を選び・・を何段か繰り返してそこから標本を無作為に抽出する。
層化抽出法・・・母集団をあらかじめいくつかの層(グループ)に分けておき、各層の中から必要な数の調査対象を無作為に抽出する方法。
集落(クラスター)抽出法・・・母集団を小集団であるクラスター(集落)に分け,その中からいくつかのクラスターを無作為に抽出し,それぞれのクラスターにおいて全数調査を行う。


問8 解答

(同時確率関数と相関係数)

$\boxed{ \ \mathsf{10}\ }$ ⑤

まず、$X, Y$の周辺分布を求める。
$\begin{align}
P(X=-1)=P(X=1)&=0+1/4+0=1/4\\
P(X=0)&=1/4+0+1/4=1/2\\
P(Y=-1)=P(Y=1)&=0+1/4+0=1/4\\
P(Y=0)&=1/4+0+1/4=1/2
\end{align}$
これらから$X^2,Y^2$の期待値$E[X^2],E[Y^2]$、分散$V[X^2],V[Y^2]$及び$X^2$と$Y^2$の共分散$Cov(X^2,Y^2)$、相関係数$r$を求める。
$$\begin{align}
E[X^2]&= (-1)^2\times P(X=-1)+0^2\times P(X=0)+1^2\times P(X=1)\\
&=1/4+0+1/4=1/2=\mu_{X^2}\\
E[Y^2]&= (-1)^2\times P(Y=-1)+0^2\times P(Y=0)+1^2\times P(Y=1)\\
&=1/4+0+1/4=1/2=\mu_{Y^2}\\
V[X^2]&=E[(X^2-\mu_{X^2})^2]\\
&=\{(-1)^2-1/2\}^2\times P(X=-1)+(0^2-1/2)^2\times P(X=0)+(1^2-1/2)^2\times P(X=1)\\
&=1/16+1/8+1/16=1/4\\
V[Y^2]&=E[(Y^2-\mu_{Y^2})^2]\\
&={(-1)^2-1/2}^2\times P(Y=-1)+(0^2-1/2)^2\times P(Y=0)+(1^2-1/2)^2\times P(Y=1)\\
&=1/16+1/8+1/16=1/4\\
Cov[X^2,Y^2]&=E[(X^2-\mu_{X^2})(Y^2-\mu_{Y^2})\\
&={(-1)^2-1/2}\times{(-1)^2-1/2}\times P(X=-1,Y=-1)\\
&+{(-1)^2-1/2}\times(0^2-1/2)\times P(X=-1,Y=0)\\
&+{(-1)^2-1/2}\times(1^2-1/2)\times P(X=-1,Y=1)\\
&+(0^2-1/2)\times{(-1)^2-1/2}\times P(X=0,Y=-1)\\
&+(0^2-1/2)\times(0^2-1/2)\times P(X=0,Y=0)\\
&+(0^2-1/2)\times(1^2-1/2)\times P(X=0,Y=1)\\
&+(1^2-1/2)\times{(-1)^2-1/2}\times P(X=1,Y=-1)\\
&+(1^2-1/2)\times(0^2-1/2)\times P(X=1,Y=0)\\
&+(1^2-1/2)\times(1^2-1/2)\times P(X=1,Y=1)\\
&=0-1/16+0-1/16+0-1/16+0-1/16+0=-1/4\\
\therefore r&=\frac{Cov[X^2,Y^2]}{\sqrt{V[X^2]V[Y^2]}}=\frac{-1/4}{\sqrt{1/4\times1/4}}=-1
\end{align}$$
また
$P(X^2=0,Y^2=0)=P(X=0,Y=0)=0$
$P(X^2=0)=P(X=0)=1/2, P(Y^2=0)=P(Y=0)=1/2$
であることから
$P(X^2=0,Y^2=0)\neq P(X^2=0)P(Y^2=0)$
となり、$P(X^2\cap Y^2)=P(X^2)P(Y^2)$が成り立たないため、$X^2$と$Y^2$は互いに独立ではない。


問9 解答

(非復元抽出の確率)

$\boxed{ \ \mathsf{11}\ }$ ⑤

無作為に集められた$25$人の中に同じ誕生日の人が存在する確率を求めるためには、同じ誕生日の人が全くいない確率を求めて$1$から引けばよい。
同じ誕生日がないということなので、$365$日から重複を許さずに$25$日を抽出する確率を求める。
$$\underbrace{\frac{365}{365}\times\frac{364}{365}\times\frac{363}{365}\times\cdots\times\frac{341}{365}}_{25}=\frac1{365^{25}}\times\frac{365!}{340!}$$
よって、同じ誕生日の人が存在する確率は
$$1-\frac{365!}{365^{25}\times340!}$$


問10 解答

(正規分布、標準正規分布)

$\boxed{ \ \mathsf{12}\ }$ ④

確率変数$X$が正規分布$N(60,9^2)$に従うとき、$$Z=\frac{X-60}{9}$$は標準正規分布$N(0,1)$に従う。そこで、
$$P(X\le c)=0.011\iff P(Z\le \frac{c-60}{9})=0.011$$
「標準正規分布の上側確率」の表から$P(X\ge2.29)=0.011$なので、$P(X\le-2.29)=0.011$、$$\begin{align}\therefore \frac{c-60}{9}&=-2.29\\c&=39.39\end{align}$$


問11 解答

(連続型確率変数)

[1]

$\boxed{ \ \mathsf{13}\ }$ ①

$P(X\gt 1)=1-P(X\le 1)=1-F(1)=1-1=0$

[2]

$\boxed{ \ \mathsf{14}\ }$ ③

確率密度関数$f(x)$は累積分布関数$F(x)$を微分して求める。
$$\begin{eqnarray}
f(x)=\frac{d}{dx}F(x)=
\begin{cases}
1&(0\ge x\lt 1)\\
0&(x\lt 0,\ 1\ge x)
\end{cases}
\end{eqnarray}$$
期待値$E(X)$は、
$$E(X)=\int_{-\infty}^\infty xf(x)dx=\int_0^1 x\cdot1dx=\left[\frac{1}{2}x^2\right]_0^1=\frac{1}{2}$$


問12 解答

(幾何分布、チェビシェフの不等式)

[1]

$\boxed{ \ \mathsf{15}\ }$ ③

幾何分布$P(X=x)=p(1-p)^{x-1}$の期待値(平均)は$1/p$
$$\therefore\ P(X)=\frac13\left(\frac23\right)^{n-1}\ \Rightarrow\ E(X)=\frac1{1/3}=3$$

※成功か失敗しかない試行をベルヌーイ試行という。成功確率は $p$。
このベルヌーイ試行を独立に何回も行うとき,初めて成功するまでに“試行”した回数を $X$ とすると,$X$ の確率関数は$$P(X=x)=p(1-p)^{x-1}$$となり,この確率分布をパラメータ $p$ の幾何分布という。(本によっては,初めて成功するまでに“失敗”した回数を $X$ とする定義の仕方もある。)
ここで,等比級数の和$$\displaystyle \sum_{x=0}^\infty a^x=\frac1{1-a}\ \ \ (|a|<1)$$の両辺を $a$ で微分すると$$\displaystyle \sum_{x=0}^\infty xa^{x-1}=\frac1{(1-a)^2}$$さらに,この式の両辺を $a$ で微分すると,$$\displaystyle \sum_{x=0}^\infty x(x-1)a^{x-2}=\frac2{(1-a)^3}$$となる。これを利用して,幾何分布の期待値と分散を求める。$$\begin{align}E[X]=&\sum_{x=0}^\infty xp(1-p)^{x-1}=p\sum_{x=0}^\infty x(1-p)^{x-1}\\=&\frac{p}{\{1-(1-p)\}^2}=\frac1p\\V[X]=&E[X(X-1)]+E[X]-E[X]^2\\=&\sum_{x=0}^\infty x(x-1)p(1-p)^{x-1}+\frac1p-\frac1{p^2}\\=&p(1-p)\sum_{x=0}^\infty x(x-1)(1-p)^{x-2}+\frac1p-\frac1{p^2}\\=&\frac{2p(1-p)}{\{1-(1-p)\}^3}+\frac1p-\frac1{p^2}\\=&\frac{2-2p}{p^2}+\frac{p}{p^2}-\frac1{p^2}=\frac{1-p}{p^2}\\\end{align}$$

[2]

$\boxed{ \ \mathsf{16}\ }$ ④

期待値$E[X]$、分散$V[X]$を持つ確率分布に従う確率変数$X$について、任意の$\epsilon\gt 0$に対して、チェビシェフの不等式$$P(|X-E[X]|\ge\epsilon)\le V[X]/\epsilon^2$$が成り立つ。
また、母平均$\mu=3$、母分散$\sigma^2=6$の母集団から抽出した標本$X_1,\cdots,X_n$の標本平均$\displaystyle\bar{X}=\frac1n\sum_{i=1}^nX_i$の期待値と分散は
$$\begin{eqnarray}E[\bar{X}]=E\left[\frac1n\sum_{i=1}^nX_i\right]=\frac1n\sum_{i=1}^nE[X_i]=\frac{n\mu}n=\mu=3\\V[\bar{X}]=V\left[\frac1n\sum_{i=1}^nX_i\right]=\frac1{n^2}\sum_{i=1}^nV[X_i]=\frac{n\sigma^2}{n^2}=\frac{\sigma^2}{n}=\frac{6}{n}\end{eqnarray}$$
これをチェビシェフの不等式に当てはめると
$$P(|X-3|\ge\epsilon)\le\frac{6/n}{\epsilon^2}$$